第39話

表情筋体操
??「ねえ、俺の女になにしてんの?」


ぎょっとした顔をしておそるおそる後ろを振り向くナンパ野郎





そこには







貼り付けたみたいな笑顔の徹が立っていた


及「ねえ、君たちに聞いてるんだけど、、俺らになんか用でも?」


徹は口元に笑みを浮かべてはいるが

目が一切笑っていない



思わず私も震え上がってしまう




「オイ、もう行こうぜ…」

そう言ってナンパ野郎は一目散に逃げていった








及「ふぅ。って、あなた大丈夫!?怪我は?」


アイツらが居なくなった途端に肩の力が抜け

私はその場でヘナヘナとしゃがみ込む



『コ、、、コワかった……』



ほんとに怖かった

こんなときいつもは絶対テツかやっくんが居てくれるのに

私1人では無力なんだと改めて実感させられた


まださっきの恐怖が抜けていないのか

歯がガチガチと音を鳴らす




そんな私のことを

徹は後ろからフワりと抱きしめてくれる


及「ごめん、練習長引いちゃって来るの遅くなった。でももう大丈夫だから。」


そう言って背中を優しく撫でてくれる


テツとはまた違った手だけど



すごく安心する手だった








何分か経ち私もだいぶ落ち着いてきたんだけど



よくよく考えたら、私今抱きしめられてるよね!?

頭がだんだんクリアになり、

現在の状況に一気に顔が赤くなる



『と、徹!私もう落ち着いたから、!』


及「ダーーーメ、久々に会えたんだからもう少しこのままでいよ?」


『久々だからこのままで…いや意味がわかんないんだけど!?』

全く意味がわからず、徹の腕でジタバタする




及「まあまあ落ち着いて、とにかくあなたは今の烏野の情報とかさっきのこととかさ、及川さんに感謝しなきゃいけないことたくさんあるでしょ?」



確かに

烏野がどんな高校だとかのネット以外の情報は

徹に教えてもらったし

もしさっき、徹が来てくれてなかったら

今どうなってたかなんて想像したくもない




『ふふ、確かにそうだね笑 徹、色々ありがと』



あーー!!!と突然徹が叫んだので

思わず振り返る


及「やっと笑ってくれた…!」




そう言ってさっき追い払ったときの笑顔とは全く違った、屈託のない笑みを浮かべる徹


及「久しぶりに会えるって思ってたのにさ、着いたらあなた知らない人に腕掴まれてるし?よく見たら泣いてたし?俺に会わなかったらこんなことにはならなかったわけだし、あなた全然笑ってくれないんだもん…」


今度は寂しそうな顔をする徹






表情がコロコロ変わるのが面白くて

私は小さく笑った





及「〜ッその顔、他の人に見せるの禁止ー」

そう言って今度はいたずらっぽく笑う



やっぱり面白い笑



及「よーし、じゃあそこのベンチで駄弁るべ!あ、なんか飲みモン買ってくる!」


ちょっと待ってて!と言いながら自販機へと走って行く徹









私は昔会った時と変わらないその笑顔に向かって







『……徹に会いたかったよ』








誰にも聞こえないような声でそう呟いた____