第23話

〈春〉登下校仲間②
7,602
2020/04/23 12:32


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焼肉店




及「あなたが宮城にいた頃毎月のように焼肉食べに行ったよね!」

「そりゃぁお肉大好きですから。」

岩「と言ってる割に食べねーのがあなたよな。」

「いや、だからね。
私と2人の食べる量が違うからそう思うだけだよ。
私はそこら辺の女子達より食べてるもん。」

及「なのに身長伸びないんだね。」


イラッ……。


「すいませーん!店員さーん!ここに美味しそうな豚肉がいまーす!」


と、店員さんに言う雰囲気を出す。


及「え!?せめてそこは牛でしょ!?」

岩「いや、クソ川は豚だな。」

「ブーブーうるさいから徹は永遠に豚だよ。牛なんて徹には勿体ない。」

及「牛が勿体無いってどういうこと!?」


と、他愛もない話が続く。

前の席に座っている2人を見てふと思う。

自分が思っている以上に徹とハジメは面白く、そしてもっと仲良くなっていた。

相変わらずバレー馬鹿だし。

店に入ってからバレー関連の話しかしてない。

徹が馬鹿言って、ハジメが冷静にツッコむ。

本当に仲がいい。

……ま、口に出して言ったらハジメに殺されそうなので言わないが。


「……と言うか、徹だけだよ。」

及「ん?」

「身長の事言うの!」


東京に行ってから身長の事何も言われなかったので、なんだか新鮮だ。


及「え、東京の人言わないの!?」

「言わない!」

及「なら東京の人は170cmより上がいないから、あなたをからかわないんだ。良かったじゃん。」

「なんでそうなるのよ。」


バレーをしている女子高校生の平均身長はだいたい170cm。

159cmしかない私は平均身長以下だ。


岩「でもお前、俺たち以外からも身長でからかわれていたよな。」

「そうよ、中学の時男共からセッターのくせに身長低いって!」

岩「なのに言われなくなったとか……。
一体どんな学校生活送ってんべや。」

「普通の生活を送っているに決まってるでしょ!」


北川第一中はバレーの強豪校だから、必然的に高身長な人が多くなり、校内の身長平均も高い。

女子も男子もだ。

だから全国平均の身長であってもみんなから見れば私は低い。


及「ならさ、あなたは今なんて呼ばれているの?」

「何突然。」

及「だってチビ太郎ちゃんとか言われなくなったってことでしょ?」

「それ、徹しか言わないから。」

及「あだ名とかないの?」


あだ名……ねぇ。

そもそも私はなんて呼ばれているだろうか。

あなた。

あなたさん。

烏養。

烏養さん。

マネさん。

姐さん。

あ。


「……じゃじゃ馬姫。って呼ばれた事ある。」

「「じゃじゃ馬姫!?」」


吹き出してハハハッ!!と大爆笑をする2人。

突然大爆笑したので、他のお客さんが私達を見る。


「ちょ、うるさい!」

及「じゃ、じゃじゃ馬姫!?」

岩「あなたがじゃじゃ馬姫って……!」

及「え、人に従わない女になったの?」

「ちゃんと従っているわよ、先生の言うこととか!」

岩「あなたがじゃじゃ馬姫って意味わかんねェ」

及「でもじゃじゃ馬姫っていいじゃん。
あなたっぽいよ!」

「それ、褒めてないでしょ。
バカにしてるでしょ。」


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