第17話

遊園地デート
404
2026/05/13 02:00 更新
新田 桃音
新田 桃音
あ、あのっ、三条くん!
三条 彬
三条 彬
ん?
新田 桃音
新田 桃音
はあっ、はあっ、どこまで行くのっ?
三条 彬
三条 彬
着いたら分かるよ
駅を後にして、私は三条くんに手を引かれるままに走っている。
新田 桃音
新田 桃音
(成り行きで、ずっと手を繋いでるけど)
三条 彬
三条 彬
着いた
新田 桃音
新田 桃音
肩を上下させて息を整える私とは違って、三条くんは少しも息が乱れていない。
三条くんが私を連れてきてくれた場所は……
新田 桃音
新田 桃音
……遊園地?
三条 彬
三条 彬
うん。楽しく遊んだら、元気出るかなって思って
三条 彬
三条 彬
てか、俺が来たかっただけなんだけどね。遊園地って、近くで見るだけでもテンション上がんない?
新田 桃音
新田 桃音
(あ、テンションが上がったから走っちゃったのかな)
新田 桃音
新田 桃音
(……可愛いな)
新田 桃音
新田 桃音
うん。楽しそう
三条 彬
三条 彬
よかった。新田の元の世界にも、同じ場所にあるとは思うけど
三条 彬
三条 彬
ここは、来たことある?
新田 桃音
新田 桃音
ううん、ない
新田 桃音
新田 桃音
遊園地は、小学校の遠足で一回しか行ったことないから
三条 彬
三条 彬
そうなの?
新田 桃音
新田 桃音
うん。パパとママは私がちっちゃい頃に離婚して、家族旅行もしたことないし。ママはいつも仕事で忙しいから、一緒に出かけたこともほとんどなくて。一緒に遊園地に行けるほど、仲のいい友達もいなかったしね
新田 桃音
新田 桃音
遠足の時は身長が足りなくて、乗れるアトラクションが限られてたの
新田 桃音
新田 桃音
だから遊園地は、ほとんど初めて
三条 彬
三条 彬
そっか
三条 彬
三条 彬
それなら、いっぱい遊ぼう
新田 桃音
新田 桃音
うん!
園内は土曜日だからか、人が多くて、同性グループや家族連れが目立つ。
新田 桃音
新田 桃音
(意外と、カップルは少ないんだ)
新田 桃音
新田 桃音
(私たちは、周りからどんな関係に見えるんだろう)
三条 彬
三条 彬
新田、最初に何乗る?
三条 彬
三条 彬
せっかくだから、小学生の時に乗れなかった、身長制限があるもの中心がいいかな
新田 桃音
新田 桃音
そうだね
新田 桃音
新田 桃音
三条くんが好きなの乗ろうよ
三条 彬
三条 彬
あ、またそうやって遠慮して
新田 桃音
新田 桃音
ううん、遠慮とかじゃなくて
新田 桃音
新田 桃音
……三条くんが好きなもの、知りたくて
新田 桃音
新田 桃音
(あれ? またこんなこと言ったら、告白みたい……?)
三条 彬
三条 彬
でも俺が好きなのって絶叫系だけど、新田乗れる?
新田 桃音
新田 桃音
(あ、全然気にされてない……)
新田 桃音
新田 桃音
うん。乗ったことないから、乗ってみたいな
三条 彬
三条 彬
分かった。じゃあ、こっち
新田 桃音
新田 桃音
本当にごめんなさい……
三条 彬
三条 彬
俺のことは気にしなくていいから、喋らないで。口を開くと、気持ち悪いでしょ?
新田 桃音
新田 桃音
うう……
一緒に乗った、初めてのジェットコースター。
最初の、コースターが登っていくまでは、ドキドキして楽しくて。
でも……。
新田 桃音
新田 桃音
(知らなかった。自分が、絶叫系が苦手だったなんて)
散々さんざん大声で叫んで、上下左右揺らされまくって、現在地はベンチの上。
せっかくの遊園地なのに、三条くんまでベンチに付き合わせてしまって、申し訳ない。
三条 彬
三条 彬
はい、冷たいもの飲めそう?
新田 桃音
新田 桃音
ありがとう……
三条くんが、自販機で買ったばかりのペットボトルを渡してくれた。
新田 桃音
新田 桃音
あ、こういうの、こっちにも売ってるんだね
三条 彬
三条 彬
こういうの?
新田 桃音
新田 桃音
透明なのに、桃の味がするジュースでしょ? これ。おいしいよね
三条 彬
三条 彬
そっちにもあるんだ?
新田 桃音
新田 桃音
うん。前は色んな味が売ってたから、よく買ってたんだ
三条 彬
三条 彬
同じだ。透明なミルクティーとか、透明なコーラとかなかった?
新田 桃音
新田 桃音
うん、あったあった。私は、この桃を一番買ってたけど
三条 彬
三条 彬
そうなんだ。こっちの新田は、今でもそればっかり飲んでるよ
新田 桃音
新田 桃音
そうなの?
新田 桃音
新田 桃音
……そんなこと、知ってるの?
三条 彬
三条 彬
隣の席だしね。新田も、あっちの俺が同じココアばっかり飲んでるの、知ってたでしょ
新田 桃音
新田 桃音
うん……
新田 桃音
新田 桃音
(あれ?)
三条 彬
三条 彬
でもこれで一個、新田が好きなもの知れたな
新田 桃音
新田 桃音
あ、うん、そうだね。本当だ……
新田 桃音
新田 桃音
(あれ? 今のって、なんか……)
三条 彬
三条 彬
変な感じ。それ持ってると、こっちの新田に見えるのに、中身全然違うんだもんな
新田 桃音
新田 桃音
そう……かな
新田 桃音
新田 桃音
でも、あれだよね。こっちの私って、口が悪いっていうか、そういうんじゃなくて
新田 桃音
新田 桃音
……ツンデレ?
三条 彬
三条 彬
ははっ
三条 彬
三条 彬
そうそう、分かっちゃった?
三条 彬
三条 彬
やってることと、口に出してることが違いすぎるんだよ
三条 彬
三条 彬
でも、そういうところが、可愛いんだけどね
新田 桃音
新田 桃音
(あ、これって)
三条くんは、いつも優しい。
三条くんは、いつもニコニコ笑ってる。
新田 桃音
新田 桃音
(だけど)
新田 桃音
新田 桃音
(こんな笑顔、見たことない)
胸が、ザワザワした。
私の服装を褒めてくれた「可愛い」よりも、今の「可愛い」が温度の高いものだったから。

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