第20話

決心と真実
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2026/06/03 02:00 更新
放課後は、階段に座って、三条くんとのいつもの勉強会の時間。
だけど……。
新田 桃音
新田 桃音
あのね、この勉強会……そろそろ終わりにしても、いいかなって
三条 彬
三条 彬
確かに、新田も最近では、俺のフォロー必要なくなってたしね
新田 桃音
新田 桃音
そうじゃなくて……
新田 桃音
新田 桃音
元の世界に、戻ろうかと思ってるの
三条 彬
三条 彬
えっ!?
三条くんと遊園地に行った日から、ずっと考えていた。
新田 桃音
新田 桃音
(ここは、あたたかいけど)
新田 桃音
新田 桃音
(居心地がいいけど)
新田 桃音
新田 桃音
(やっぱり、私の場所じゃないから)
三条 彬
三条 彬
帰るって、でも……
新田 桃音
新田 桃音
私ね、おまじないを試して本当によかったと思う。こっちの私には、とばっちりを食らわせちゃって、本当に申し訳ないんだけどね
新田 桃音
新田 桃音
甘えさせてくれるママ、一緒に笑える親友、優しいクラスメイト
新田 桃音
新田 桃音
それに、三条くん
新田 桃音
新田 桃音
三条くんがいなかったら、元の世界にいた時の自分と、何も変わらなかったと思う
新田 桃音
新田 桃音
本当に、いっぱい助けてくれてありがとう
新田 桃音
新田 桃音
みんな、こっちの世界で出会えてよかった
新田 桃音
新田 桃音
三条くんは、私が幸せになるまで帰せないって言ってくれたけど
新田 桃音
新田 桃音
私ね、とっくに幸せだったの
新田 桃音
新田 桃音
ずっとここにいたいって思えるくらい、本当に幸せなの
新田 桃音
新田 桃音
でも、やっぱり……
新田 桃音
新田 桃音
こっちのママの子どもは私じゃないし、紗奈の親友も私じゃない
新田 桃音
新田 桃音
(三条くんの好きな人も……)
三条 彬
三条 彬
……
新田 桃音
新田 桃音
こっちに来るまで、三条くんと出会うまで、自分の好きなものはなんだろうとか……考えたこともなかった
新田 桃音
新田 桃音
楽しい気持ちを、いっぱい貰えた。全部、こっちのみんなのおかげだよ
新田 桃音
新田 桃音
元の世界に帰っても、忘れない。私きっと、それだけで頑張れる
新田 桃音
新田 桃音
今までの自分を、変えられると思う
新田 桃音
新田 桃音
もう、逃げるのはやめにしたいの
三条 彬
三条 彬
もう、決めたの?
新田 桃音
新田 桃音
うん
三条 彬
三条 彬
そっか
こっちの三条くんは、いつも笑顔を絶やすことがない。
だけど、今は……少しだけ。寂しそうな表情に見えた。
新田 桃音
新田 桃音
(少しでも、残念って思ってくれてるかな)
新田 桃音
新田 桃音
(そうなら、嬉しい)
新田 桃音
新田 桃音
(これ以上は、望まないから)
三条 彬
三条 彬
……新田
新田 桃音
新田 桃音
なに?
三条 彬
三条 彬
戻ったら、もうこっちには二度と来れなくなるよ
新田 桃音
新田 桃音
え……?
三条 彬
三条 彬
だから、戻るなら、こっちでの心残りはないようにして
三条 彬
三条 彬
新田には、後悔してほしくないから
新田 桃音
新田 桃音
えっ、えっ?
新田 桃音
新田 桃音
三条くん、なんでそんなこと……
新田 桃音
新田 桃音
(そんな、まるで経験者みたいに)
新田 桃音
新田 桃音
(後悔をしたことが、あるみたいに)
新田 桃音
新田 桃音
あっ!
三条 彬
三条 彬
新田!
座っている階段に手をついたら、バランスをくずしてしまった。
三条くんが支えてくれたから、落ちなくて済んだけれど……。
三条 彬
三条 彬
大丈夫?
新田 桃音
新田 桃音
(……あれ?)
新田 桃音
新田 桃音
(三条くんの、この言葉……)
入学式の日。
優しく笑って助けてくれた、男子生徒。
『大丈夫? 立てる?』
そう言って差し出してくれた手は左手で、立ち上がるのに少し手間取ったことを思い出す。
新田 桃音
新田 桃音
(あの時の人は、三条くんで間違いない。でも)
新田 桃音
新田 桃音
(……左利き?)
新田 桃音
新田 桃音
三条くんって、もしかして……
新田 桃音
新田 桃音
入学式で、転んだ女子を助けたことが……ない?
三条 彬
三条 彬
うん
三条 彬
三条 彬
左手を出したから、困らせちゃったよね
新田 桃音
新田 桃音
まさか……
三条 彬
三条 彬
あっちの世界で新田と出会ったのは、俺だよ
三条 彬
三条 彬
俺も、入れ替わったことがあるんだ

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