第22話

ママと私
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2026/06/17 02:00 更新
『後悔をこちらに残さない』
三条くんと約束をして、帰宅した今でも、まだ今日の放課後が頭でぐるぐるしている。
新田 桃音
新田 桃音
(私を助けてくれた三条くんが、こっちの三条くんだったなんて)
ママ
ママ
桃音ちゃん、どうかしたの? 食欲ない?
新田 桃音
新田 桃音
えっ? あ、ううん。そんなことないよ。今日もおいしいね
夕飯を食べている途中だったのに、止まってしまった。
今日は、ママが作ってくれたオムライス。
ケチャップで描かれたハートマークが可愛い。
新田 桃音
新田 桃音
(元の世界に帰ったら、ママの料理ももう食べられないんだ)
新田 桃音
新田 桃音
(毎日作ってくれた、お弁当も)
新田 桃音
新田 桃音
(さみしいな)
ママ
ママ
……
ママ
ママ
ねぇ、桃音ちゃん
新田 桃音
新田 桃音
ん?
ママ
ママ
今日は、久しぶりに一緒に寝ましょうか
新田 桃音
新田 桃音
……ん?
お風呂も入り、今日の家事も終わり。枕を抱えて、現在地はママの部屋。
新田 桃音
新田 桃音
(流れで、本当に来ちゃったけど)
新田 桃音
新田 桃音
(こっちの私は、たまにママと一緒に寝るのが普通だったりするの?)
新田 桃音
新田 桃音
(いや、こっちの私の性格からして、それはないか)
ママ
ママ
お布団ちょっと狭いけど、うん、ふたりくらいなら大丈夫
ママが、ぽんぽんとシーツを直す。
ママ
ママ
どうぞ、桃音ちゃん
新田 桃音
新田 桃音
あ、うん、じゃあ……
あまり場所を取らないように、できるだけ布団の端っこに寝転がる。
新田 桃音
新田 桃音
(高校生にもなって、ちょっと恥ずかしいけど)
新田 桃音
新田 桃音
(あったかいな……)
新田 桃音
新田 桃音
……
『後悔をこちらに残さない』
新田 桃音
新田 桃音
(後悔……)
新田 桃音
新田 桃音
ママ……
ママ
ママ
なぁに?
新田 桃音
新田 桃音
最近の私、変じゃなかった?
ママ
ママ
変って?
新田 桃音
新田 桃音
前と、性格……変わった、とか
新田 桃音
新田 桃音
(私、ちゃんとママの娘をやれてたかな)
新田 桃音
新田 桃音
(変わった娘を、嫌だと思わなかった?)
元の世界のママを思い出して、胸がキュッと苦しくなる。
新田 桃音
新田 桃音
(いらない娘じゃ、なかった?)
ママ
ママ
そうね、優しくなったわね
新田 桃音
新田 桃音
(こっちのママは、いつもそう言ってくれるけど)
ママ
ママ
ママはね、桃音ちゃんが変わっても変わらなくても、辛い思いをしていないならどっちでもいいの
ママ
ママ
前の元気のいい桃音ちゃんも、今の優しい桃音ちゃんも、どっちもママの娘でしょ
ママ
ママ
楽しく生きていてくれれば、それでいいのよ
新田 桃音
新田 桃音
っ……
涙がこぼれそうになって、ママに背を向ける。
新田 桃音
新田 桃音
ママ……
新田 桃音
新田 桃音
私のこと、好き?
ママ
ママ
もちろん
ママ
ママ
大好きよ
新田 桃音
新田 桃音
(そっか)
新田 桃音
新田 桃音
(やっと分かった)
新田 桃音
新田 桃音
(私はこの人の子どもになりたいけど)
新田 桃音
新田 桃音
(でも私がそう言って欲しかった人は、優しいこの人じゃなくて)
新田 桃音
新田 桃音
(ここにいるママは、もうひとりの私に返さなきゃいけなくて)
全てが逆の世界でも、好きなものは同じ。
三条くんと話したことを、思い出す。
新田 桃音
新田 桃音
(本当に全部、そうだったらいいな)
新田 桃音
新田 桃音
……私も、ママが大好き
ママ
ママ
ふふ、嬉しい
ママが、私の背中を撫でる。
ママ
ママ
おやすみ、桃音ちゃん
新田 桃音
新田 桃音
おやすみなさい……
あたたかいこの世界で、私は目を閉じた。

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