お兄ちゃんに指定されたカフェに入って通された席は隅の周りからは見えにくいところだった。
店員さんに連れが来ることを伝え、スマホを取り出す。
移動中は音楽を聴いていたためか、通知に気づかなかった。
なっちは大学で知り合った、同い歳。
就活の時、先に就職が決まった私の数ヵ月後に卒業後も同期として同じ法人で雇われることが決まった子だ。
なっちの他にも3人、大学と就職先が同じ同期がいるが、なっちとは職場が近いこともあり、毎月1回定期のごはん会をすることを入社した時に約束していたのだ。
他のメンバーとは研修の時に会うくらいで、最近はあまり会えていない。
都合のいい日と今月のシフトを返事として送る。
返事を送ったタイミングでお兄ちゃんが来た。
第一声がそれなの? と思ったが、確かに追い返されたのは間違いなく目の前のお兄ちゃんのせい。
店員さんにオーダーを伝えると、お兄ちゃんのスマホが通知を知らせた。
通知を確認したお兄ちゃんが小声で呟いている。
急用が入ったのか尋ねたが、どうやら違うらしい。
話が一段落する頃、頼んだものが来た。
寄りたいところがあることを伝えるとあっさり快諾。
その後また小声で呟いていたが、知らないふりをする。
半年近く会えていなかったからお互いの近況を話せる程度話して、久しぶりに兄妹で時間を過ごした。
もちろん、お兄ちゃんが奢ってくれました!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。