風磨side
あなたちゃんの歓迎会の後、自室に戻り明日の支度を済ませ寝ようとしたが横になってもなかなか寝つけず、微睡んでいた。
体を起こして、リビングに行きホットミルクを飲むことにした。
熱すぎて冷ましながら少しふざけていたら、視線を感じた。
後ろを振り返るとあなたちゃんがいた。
どうやら聞かれていたらしい。
………終わった。
話を変えるべく、あなたちゃんに問いかける。
どうやら、変な時間に目覚めてしまったらしい。
キッチンに立ち、マグカップにポットのお湯を入れる。
俺が座っているソファーに少し間を空けて座った。
マグカップを両手で持ち、ふーふーして白湯を飲んでいる。
沈黙が続いたため、話題を振ってみる。
うつむき加減で話すあなたちゃん。
そんなあなたちゃんの役に立ちたかった。
気づけばそんなことを口走っていた。
俺の方を見てぽかんとしている。
俺が弁解すると、あなたちゃんは柔らかく笑ってお礼を言った。
笑うと涙袋がぷっくり膨らむところとか兄貴にそっくり。
その後も他愛もない話をしていて、いつの間にかソファーに座っていた俺たちの距離感はどんどん縮まっていった。
尋ねても返事がない。
あなたちゃんの方を見ると、俺の服をきゅっと掴んで寝ていた。
抱っこして自室に戻る。
ベッドにあなたちゃんを寝かせようとしたが服を掴んで離さない。
無理に離そうとすると起きてしまいそうになる。
諦めた俺はあなたちゃんの隣に寝る。
誤解されないように早く起きなきゃと思いながら目を閉じた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!