健人side
あなたちゃんから菊池に勝利の近況報告が届いたらしい。
取材場所が違うため、スクリーンショットが送られてきた。
しかし、その後すぐあなたちゃんから連絡が来た。
内容は勝利のベッドに引きずり込まれたこと、力では勝てないから帰ってきたら助けてほしいとのことだった。
たぶん………いや、ほぼ勝利の甘えん坊モードが入った事がきっかけだろう。
返事を打って、仕事に向かった。
今日の仕事はあと2つ。。
仕事が終わると楽屋の荷物をまとめて駐車場に行く。
いつもはもうちょっとゆっくり支度をするが今日は荷物をまとめてすぐに楽屋を出る。
駐車場に向かうエレベーターの中でスマホに連絡が来ているか確認するが、連絡は来ていなかった。
いつもの道を通ってシェアハウスに向かう。
いつも以上に信号に引っかかっている気がする。
安全を最優先で駐車場に停めるとほかのメンバーの車がまだなかったことから自分が仕事組の一番だと感じた。
手洗いうがいをして、荷物を自分の部屋に置いてから勝利の部屋に向かう。
部屋の扉をノックして入るとベッドが膨らんでいる。
ベッドの傍に行くと、タイミングよく目を覚ましたあなたちゃんと目が合う。
寝ぼけているようなとろんとした目、ちゃんと言っているつもりだろうが舌っ足らずのような言い方に笑ってしまいそうになる。
布団をめくると勝利の腕があなたちゃんをがっちりつかまえていた。
病人を起こすのは良くないが一瞬だけ起きてもらい、その間にあなたちゃんに抜けてもらおうと考えたが、全然起きない勝利。
残る手段はひとつしかない…………
俺の言葉に返事をするあなたちゃん。
俺が考えたもうひとつの手段は…………
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!