勝利side
熱を出したのはいつぶりだろう。
体がだるいなと思う時は栄養ドリンクを飲んで体を騙しながら仕事をしていた時もあった。
このようにオフの日に体調を崩すのは久しぶりだ。
目を覚ますと、額になにか貼ってある感じがして手で触ってみる。
冷えピタだと確信した。
ベッドサイドにはスポドリまで用意されていた。
スマホを確認するためにベッドサイドで充電していたスマホを手探りで取る。
通知を読むと、あなたちゃんが俺の面倒をみてくれるとのことと、体温素直に計らせろということだった。
そう呟いた時、部屋の扉をノックする音がした。
扉を開けてひょこっと顔を覗かせた彼女は俺が起きているのを見ると、笑顔を見せる。
入ってきた彼女はお盆を持っていて、お盆の上を見れば小さな土鍋と蓮華が乗っていた。
取り皿用の茶碗に分けて俺に渡す。
湯気をたてているお粥を蓮華ですくって食べる。
ほどよい塩味がきいていて優しい味がした。
味の感想を彼女に伝えると彼女は安堵した表情を浮かべていた。
あの後、お粥を完食した俺は薬を飲んでまた横になった。
そういって俺は瞼を閉じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。