僕なんかが…
莉犬くんと、張り合えるわけ無いよね
死んでくる…か…
僕が、莉犬くんの変わりになれるわけが無い。
でも…
少しでもるぅとくんを支えられれば…
少しでも莉犬くんがいなくなった穴を埋めなきゃ…
そう思いながら、僕は準備し始めた。
これは人殺しのるぅとくんとダメ人間な僕の旅だよ。
旅なんだよ。
そして僕達は家から出て逃げた。
やっと、縛られてたものから解放される…
自由なんだ
家族もクラスの奴らも何もかも捨てて。
るぅとくん。
人殺しなんてさ、そこら中にいるんだよ
るぅとくんは…
るぅとくんは…悪くないんだよ
僕達は、
いじめを受けていた。
僕は元いじめられっ子
るぅとくんはいじめられっ子。
そして僕達は
親に酷く嫌われていた
愛されてなんて居なかったんだ
愛されてなかっただけでこんなに信じ込んて…
そんな人達、きっと僕達しかいないよね。
るぅとくん。
さりげなく握ったるぅとくんの手。
僕の家に来た時は手が震えてて、おまけに手汗もかいてた。
なのに今じゃ普通に走ってる。
笑ってる。
ねぇるぅとくん。
落ち着いた?
バレるのも時間の問題だと思うけど
それでも、
それでも、一緒に
“逃 げ 続 け た か っ た な…”
るぅとくん…
その後僕達はバスを降りて、
線路の上を歩いていた
るぅとくん…
僕も一緒に、
るぅとくんと同じ世界に…
生まれ変わりたかった…
ずっと一緒に居たかった…
10分後…
2人でさ、るぅとくん
頑張って探したよね
お金があまりにも見つからなくて
やっと見つけたのがるぅとくんのお父さんの部屋。
そのやっと見つけたのがまさかのヘソクリで
るぅとくん…
どんなに追いかけられても、頑張って逃げようって
言ったじゃん…
約束したじゃん…
るぅとくんだってさ
“どこまででも逃げれますよ”
って言ってたのに…
るぅとくん
この時の君の笑顔は
すごく自然な
昔よく見てたあの笑顔に…
そっくりだったよ
大人っぽくなったけど
るぅとくんはるぅとくんなんだね
そう。
実は僕も、親友が
なーくんが
いなくなっちゃったんだ…
るぅとくんの親友莉犬くんは
病気で死んじゃったんだ
末期のガンだった。
なーくんは交通事故。
すごいスピードを出てきた車に…轢かれたんだ
目の前で…
なーくん。
僕、これからどうすればいいの?
なーくんの形見の眼鏡も落としてきちゃった…
もうどこにあるのか分からないよ…
なーくん…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!