お母さんは泣いていた
ガチャンッ
ドタドタドタ
玄関から足音が聞こえてきた
お父さんだった
帰ってきて直ぐに
お母さんを抱きしめている
こんな時に考えることじゃないけど
仲のいい夫婦だなぁ
私は大人しく3階の自分の部屋に入った
下から聞こえてくる大きな泣き声
その声を聞きたくがないために
ベランダからの隠し通路で
屋上に来た
夕焼けがいつも以上に
綺麗に見える
夕陽が凄く光っていて
私の心を癒してくれる
この時間がずっと続いたらな
______
それから2~3分が経ち
寒くて中に入った
______
ガチャッ
びっくりした…
ノックしてから入ってよ
いきなり顔作るの
難しいんだから
バタンッ
______
会いたくないのはしょうがない
いきなりだもんね
でも
ここで
『嫌だ!』
なんて言って
今までの努力を無駄にしたくないから
言いよって言っただけ
こんな時まで偽り続けなきゃいけないのか
疲れるな
•*¨*•.¸¸☆*・゚
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!