第25話

~❷❸~
1,349
2020/09/16 13:59
『2人とも行くでー』
治と侑は扉から顔を覗かして、私たちを待っていた。
あれ以来、ずっと釘を刺されているような腕の痛み。
まだ夏じゃないから、長袖で良かった。
自分では確認するのが怖くて、
自覚するのが怖くて、見てはいない。
折れている、となれば、
試合に出れる可能性も低くなるからだ。
宮 治
宮 治
あなた?
治がぼーっとした私に気づいたのか、顔を覗き込んできた。
宮 治
宮 治
…泣いたんか?
宮 あなた
宮 あなた
なんでやねーん
悟られたくなくて、直ぐに返して笑った。
治も安心したように笑って同じ歩幅で歩いてくれる。
宮 治
宮 治
それでな、あいつがな…
治が話してくれるが、全然耳に入ってこない
私のポジションはセッターだ。
手がどれだけ大事なのか、私でも重々分かる。
怪我したセッターなんかいらない。
そう言われてきた人を見てきたのだ。
宮 治
宮 治
…聞いとる?
宮 あなた
宮 あなた
…おん?聞いとるよ
安心させるように言ったのに、気に入らないのか治は立ち止まってじーっと顔を見てきた。
全部を見られているような感覚に、自然に目を逸らしてしまう。
宮 治
宮 治
なんで、逸らすん
宮 あなた
宮 あなた
恥ずかしいねん、やめてーや
宮 治
宮 治
…いつもは逸らさんやろ
宮 あなた
宮 あなた
恥ずかしいねんってば!
宮 治
宮 治
あなた
少し低めの声に、肩が跳ね上がる
宮 治
宮 治
こっち向けや
治は少し膝を曲げて、私と同じくらいの目線にする。
綺麗な目がゆっくりと私を捉えていて、息がしにくい。
宮 治
宮 治
目、逸らすやな


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