第12話

12話
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2022/01/26 08:43
同時刻、保健室。



先生
あなたさん、少し会議があるから、何かあったら会議室まで来てくれる?
あなた
あ…はい。わかりました。

…なんでこんな目に遭わなくちゃいけないんだ。

私は今、腹痛に侵されている。

今朝、リンがくれた牛乳を飲んでからお腹の調子が悪い。
それもそのはず、消費期限が2日前だった。

リンの事だからわざとじゃないんだろうけど、どんな生活してたら2日消費期限切れた牛乳を持ち歩くんだ…?
私はベッドの上でうつ伏せになりながら、刀也くんの配信のアーカイブを見ていた。
昨日の夜中、配信していたらしい。

配信ではディストピアゲームをしていた。
刀也くんの思考が全面的に出てる。
そういや、こういった考えの人だったな。
剣持刀也
はい、皆さんいかがだったでしょうか〜
剣持刀也
いやぁ、色々考えさせられるゲームでしたね!
剣持刀也
凄い長い時間遊んじゃったなぁ。
実は僕、明日朝早いんですよね
剣持刀也
それでは皆さん、良い夜を〜!
刀也くんの私生活を少し覗き見しているようで、不思議な感じ。
あれから、剣持刀也と伏見ガク、そしてその周辺のライバーについて少し調べたけど、頭が混乱して少しインターネットから距離を置いていた。

とりあえず、現実だってことを信じるのに精一杯だった。
またお腹に腹痛が走る。
あなた
いたたた…牛乳のばか…
すると廊下の方から駆け足で迫り来るような足音聞こえてくる。

廊下に響き渡るような大きい音だ。
男子生徒
すみません!誰かいませんか?
ドアの向こうから男子生徒が息を切らしながら、大きな声でこちらに話しかけてきた。
男子生徒
両手が塞がってるんです!
誰かいるなら、ドア開けてくれませんか?
とても緊迫感のある声色だった。

渋々、私は前屈みになりながらドアの方に近付く。
あなた
はーい!先生、今会議中で居ませんけど…







返事をしながら、ドアを開けると、




信じられない光景が目に飛び込んできた。














あなた
なんで…





ドアの先には、
真っ赤な顔のサクラをお姫様抱っこしている、
刀也くんの姿があった。

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