タンタンタン
おじいちゃんは神社の仕事は得意でも
家事全般は苦手らしい
だけど私が引き取ってもらってから
料理も頑張って練習していたのを私は影から見てた
だから夜ご飯くらいは私が作っている
昼、夜の家事は私
朝はおじいちゃん
という感じ
今考えれば引き取るのに考える時間が沢山あったはず
家事が苦手なのに子育てとか考えると感謝でしかない
午前6時40分
今季節は春
神社から学校への道には桜なんて咲いてないが
近道…いわゆる『裏道』は桜のルートのように
満開に桜が咲き誇っている
ザッザッザッ
ゆっくりとしかし淡々と私は学校までの裏道を歩いている
するとどこからか
にゃあ〜…
か細くそれでいて助けを求める『猫の声』が聞こえた
そしてふと上を見上げると
真上にいた
子猫だろうか
身柄がとても小さく1人では生きていけない
1匹の猫が木にしがみついていた
いつもならこんな事スルーするのに
何故か今日は『助ける』という文字が私の中にあった
すると奥から何か物音が聞こえた
同じ学校の人がここを通るとは考えにくい
そうすると結論で言えば『不審者』ということになる
もうすぐそいつの姿が見えた…と思ったが
木陰から出てきた人物を見て握っていた防犯ブザーが手からすり抜けた
そこには入学してちょっとした頃に挨拶に行った私の担当の教師だった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!