夢の内容を一通り話し終えると、3人はまた同じく首を傾げた。
「太鼓の音と笛の音...お祭りだよね」
瑠奈が呟く。
「毎日、同じ夢ばっか見ることなんてそうそう無いよな」
「やっぱりそうだよね.....んー...なんでなんだろ」
考えて分かるわけでもないし、もうお手上げ状態だ。
すると今まで何やら考え込んでいた村田くんが、
「もしかしてそれさ...東雲さんの過去と関係があったりして...」
「え...過去?」
村田くんのまさかの発言に思わず目を見開く。
「前に本で読んだことがあるんだけどさ...何か自分の中にある強い想いとか思い出とかが夢に反映するって、ね」
「それって……東雲の中に祭りに関する強い何かがあるかもしれないってことか?」
「まぁ……ただの仮説に過ぎないけど。東雲さんの夢の話を聞く限り、その夢には男の子も出てくるみたいだしね」
「え、何何!?優花の好きな人とか!?」
恋愛の話になった途端に食べているラーメンそっちのけで食いついてくる瑠奈。
「好きな人!?そ、そんな人いないって!!」
「あっやし〜。なんかないの??どこかのお祭りで素敵な男子と出会っちゃった思い出とかさー??」
「そんな思い出ないって.....多分、」
この時、私が瑠奈の質問にちゃんと答えられないのには理由があった。
まだ誰にも言っていない私の秘密。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。