今日は、転入生がやってくるとの知らせが入り、クラスのみんなは心を踊らせながら待っている。
興味が無い私は、ただ1人窓からの景色を眺めれば、変わらない景色だと呟き、ため息をつく。
『我々高校』
この、我々高校は、3年生の絇楼先輩のおじいさんが建設した高校で、この学校に通う全てと生徒はたった一人の主役、主役は我々だという意味らしい。
すごい意味だと思うが、今更だなと感じ、黒板に目をやれば、大きく書かれた私の名前。
その周りには、暴言などが書かれ、私に対するいじめだと認識する。
私は、1年生の頃からいじめを受けている。
理由は、生徒会に所属しているから。
生徒会には、この学校のイケメンと呼ばれている、絇楼先輩に沌先輩、綟先輩。
同じく2年生の胡音君や宇亜君、紗緒君に、睦生君、穂斗君。
後輩で、1年生の紫耀君がいる。
しかも、担当の先生はエミ先生としんぺい先生。
周りには、生徒皆が好きな先輩や男の子がいるところに女が1人だけ。
先輩や2年生の子からのいじめは日常茶飯事になっている。
黒板の文字には目もくれず、私は、白い天井を眺め、時間を潰した。
午前8時15分。
担当の先生が教室に来ると、ガタガタと物音を立てながら、みんながいっせいに席に着く。
どうやら、転入生がもういるらしい。
教室内は熱気に溢れる。
...これが嫌いなんだ。
先生が入ってきていいよと声をかけると、教室の前のドアがゆっくり開く。
中に入ってきたのは、男の子だった。
女の子たちはきゃー!と叫びだし、男の子たちはおー!と驚きの声を上げる。
なかなか話さないものだから、入ってきた子を観察していると、オドオドしていた。
人見知りってやつか。
先生に目で伝えると、気づいてくれ、みんなに静かにするよう呼びかけてくれた。
有能。
先生が軽く肩に手を乗せると、この子が今日から一緒に学校生活を送る遥人君だ。と名前をいい、自己紹介をするよう言う。
少し緊張しているようだが、ゆっくり、ゆっくり喋り始めた。
と、自己紹介を終え、ペコッと一礼した。
先生は、私の隣の余った席に、遥人君を呼ぶ。
周りの女の子たちはなんであいつの隣なのよ、かわいそーなどのコソコソ話している。
私は、ただ遥人君が席に来るのを待っていた。
遥人くんが席に着くと、よろしくね、と軽く挨拶をしてくれた。
そして挨拶を終えた後、私は、ぴくの耳元で
そう言い残し、授業を真面目に受けるのであった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。