第2話

始まり(1)
9,462
2018/12/13 22:31
今日は、転入生がやってくるとの知らせが入り、クラスのみんなは心を踊らせながら待っている。

興味が無い私は、ただ1人窓からの景色を眺めれば、変わらない景色だと呟き、ため息をつく。


『我々高校』

この、我々高校は、3年生の絇楼先輩のおじいさんが建設した高校で、この学校に通う全てと生徒はたった一人の主役、主役は我々だという意味らしい。


すごい意味だと思うが、今更だなと感じ、黒板に目をやれば、大きく書かれた私の名前。

その周りには、暴言などが書かれ、私に対するいじめだと認識する。

私は、1年生の頃からいじめを受けている。

理由は、生徒会に所属しているから。

生徒会には、この学校のイケメンと呼ばれている、絇楼先輩に沌先輩、綟先輩。

同じく2年生の胡音君や宇亜君、紗緒君に、睦生君、穂斗君。

後輩で、1年生の紫耀君がいる。

しかも、担当の先生はエミ先生としんぺい先生。

周りには、生徒皆が好きな先輩や男の子がいるところに女が1人だけ。

先輩や2年生の子からのいじめは日常茶飯事になっている。

黒板の文字には目もくれず、私は、白い天井を眺め、時間を潰した。


午前8時15分。

担当の先生が教室に来ると、ガタガタと物音を立てながら、みんながいっせいに席に着く。

どうやら、転入生がもういるらしい。

教室内は熱気に溢れる。

...これが嫌いなんだ。

先生が入ってきていいよと声をかけると、教室の前のドアがゆっくり開く。

中に入ってきたのは、男の子だった。

女の子たちはきゃー!と叫びだし、男の子たちはおー!と驚きの声を上げる。

なかなか話さないものだから、入ってきた子を観察していると、オドオドしていた。

人見知りってやつか。

先生に目で伝えると、気づいてくれ、みんなに静かにするよう呼びかけてくれた。

有能。

先生が軽く肩に手を乗せると、この子が今日から一緒に学校生活を送る遥人君だ。と名前をいい、自己紹介をするよう言う。

少し緊張しているようだが、ゆっくり、ゆっくり喋り始めた。
ぴくと
は、初めまして...。
隣町から引っ越してきた白谷遥人と言います。
みんなと、仲良くなれるように頑張ります...!
よろしくお願いします。
と、自己紹介を終え、ペコッと一礼した。

先生は、私の隣の余った席に、遥人君を呼ぶ。

周りの女の子たちはなんであいつの隣なのよ、かわいそーなどのコソコソ話している。

私は、ただ遥人君が席に来るのを待っていた。

遥人くんが席に着くと、よろしくね、と軽く挨拶をしてくれた。
あなた

八尋あなた。
あなたって呼んでくれれば嬉しいよ。
よろしくね、遥人君。

ぴくと
あなたね!
実は俺、ぴくとってあだ名があるから、それで呼んでくれていいよ!
あなた

そっか。
じゃあ、ぴくって呼ぶ。

そして挨拶を終えた後、私は、ぴくの耳元で
あなた

私と関わらない方がいいよ、身のため。

そう言い残し、授業を真面目に受けるのであった。

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