第4話

対面(3)
7,790
2018/12/04 10:51
ホームルームが終わり、次は移動教室。

ぴくが一緒に行こうと誘ってくれるため、ぼっちという訳では無い。

会議室に入れば、2年全員が集まっているよう。

私は、遠くで睦生君や胡音君が手を振っているのを見つけると、ぴくの手をとり、彼らの元に走り出す。
ゾム
よ!
あなた、そいつがぴくとって言う奴?
あなた

そうだよ、ほら、挨拶しないの?

ぴくを肘でつつけば、少しあたふたしている。

人見知り早く治らないかなぁ...。
あなた

あー、えっとー。
この子が白谷遥人。
ぴくとって呼ばれてるらしいんだ。
仲良くしてやってね。

ぴくと
よ、よろしく...。
コネシマ
おう!よろしくな!
俺、柳水谷胡音って言うんや!
コネシマって呼んでくれればええで!
シャオロン
なんか見た事あると思ったら、美化委員のやつか!
俺は、黄不里紗緒。
シャオロンって呼んでや!
ぴくと
あ、この前ぶつかった人...。
ご、ごめんなさい!
どうもー、この前はありがとねー。
深堺宇亜やで。
大先生とか鬱先生って呼ばれとるよ。
ぴくと
あ、いえいえ。
こちらこそありがとうございました...
ロボロ
俺より身長高いんやな...。
俺は桃李乃穂斗。
ロボロって呼んでな。
ゾム
俺は沿阿里睦生。
珍しい名前やけど、ゾムって呼ばれとる。
よろしくな。
ぴくと
これは、敬語抜きでもいいのか...?
首を傾げるぴくに笑えながらも逆にみんな敬語やめろって言ってくるよと教えるとそうなんだ!と手を叩いた。

先生がそこ喋らないーと注意をしてきたため、前を見るととっくに授業が始まっていたよう。

私は、急いでノートを開き、ペンを走らせた。





授業が終わると、胡音君たちとお別れし、自分たちの教室に戻っていく。

ぴくは私がいじめられてる事は知らないっぽい。

知られたら、不味いが。

手に巻かれた包帯に目をやると、謎の安心感があった。

毎日のようにある包帯だから、落ち着くのかな?と思っていたらいきなり腕を掴まれた。

誰だと思い顔を上げてみると、そこにはぴくがいた。
ぴくと
これ、なに?
前言撤回。

これは、知ってる感じがする。

宇亜君や紗緒君が言った感じがするぞ...!
あなた

ん?
何って包帯だよ?

ぴくと
なんでいつも巻いてるの?
あなた

怪我してるからだけど...。

ぴくと
いつも、保健室で巻いてもらってるよね?
しかも、毎日。
何も聞いかえせなくて、下を向き黙っていると、両手で私の顔を持ち上げた。

そしたら、泣きそうになって
ぴくと
心配してるんだからね。
と、私に伝えてきた。

それに対し、私は、笑顔でごめんねとしか言えなかった。

そんな自分が腹立たしい。
あなた

...誰に教えてもらったの?

聞いてみれば、黙り込むぴく。

遠くに視線を移した後、
ぴくと
鬱とか、コネちゃんに。
...予想的中。

運がいいな。

あの人たちのことだから、心配だったからとかかな?
あなた

そっか。
心配かけちゃった。
ごめんね?

そう言い残し、私はぴくを置いて席に戻る。

彼は、とても悲しそうな顔をしていた。

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