ホームルームが終わり、次は移動教室。
ぴくが一緒に行こうと誘ってくれるため、ぼっちという訳では無い。
会議室に入れば、2年全員が集まっているよう。
私は、遠くで睦生君や胡音君が手を振っているのを見つけると、ぴくの手をとり、彼らの元に走り出す。
ぴくを肘でつつけば、少しあたふたしている。
人見知り早く治らないかなぁ...。
首を傾げるぴくに笑えながらも逆にみんな敬語やめろって言ってくるよと教えるとそうなんだ!と手を叩いた。
先生がそこ喋らないーと注意をしてきたため、前を見るととっくに授業が始まっていたよう。
私は、急いでノートを開き、ペンを走らせた。
授業が終わると、胡音君たちとお別れし、自分たちの教室に戻っていく。
ぴくは私がいじめられてる事は知らないっぽい。
知られたら、不味いが。
手に巻かれた包帯に目をやると、謎の安心感があった。
毎日のようにある包帯だから、落ち着くのかな?と思っていたらいきなり腕を掴まれた。
誰だと思い顔を上げてみると、そこにはぴくがいた。
前言撤回。
これは、知ってる感じがする。
宇亜君や紗緒君が言った感じがするぞ...!
何も聞いかえせなくて、下を向き黙っていると、両手で私の顔を持ち上げた。
そしたら、泣きそうになって
と、私に伝えてきた。
それに対し、私は、笑顔でごめんねとしか言えなかった。
そんな自分が腹立たしい。
聞いてみれば、黙り込むぴく。
遠くに視線を移した後、
...予想的中。
運がいいな。
あの人たちのことだから、心配だったからとかかな?
そう言い残し、私はぴくを置いて席に戻る。
彼は、とても悲しそうな顔をしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。