第24話

0-1 宇津木くんは伝えたい
541
2021/10/03 05:10
___行ってこいと背中を押してくれた先輩と柚季を背に、俺は黒瀬の元へ走り出した。












ーアンサンブルコンテスト後
宇津木 遙
宇津木 遙
...
宇津木 遙
宇津木 遙
(走り始めたは良いが)
宇津木 遙
宇津木 遙
(...黒瀬になんて伝えよう)
ふと浮かんだ疑問に遙は駆けていた足をゆっくりと遅めた。


元々伝えるのは明日にしようと決めていて、何を言うかは今日の夜に考える予定だった
つまりはまだ何も考えがまとまっていない、ノープランという訳だ
宇津木 遙
宇津木 遙
(好き)
宇津木 遙
宇津木 遙
(と、端的に伝えてしまえれば良いのだろうが、もう少し捻りたい)
宇津木 遙
宇津木 遙
(それに何故だろう、たった二文字の言葉を口にしようとするだけで)
宇津木 遙
宇津木 遙
...むず痒いな
宇津木 遙
宇津木 遙
と、言ってる場合じゃない事くらい分かってはいるが...
宇津木 遙
宇津木 遙
(あの黒瀬でさえ俺に伝えてくれた時の顔は赤くて緊張してた訳で)
宇津木 遙
宇津木 遙
(じゃあ俺の場合はどうなるんだ?)
宇津木 遙
宇津木 遙
...気絶しそうだな
ぽつりと独り言を呟きながら改札を抜ける
階段を降り、ホームの黄色い点状ブロックの内側で足を止めた
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
(さっきから何故か視線を感じるなと思っていたら)
宇津木 遙
宇津木 遙
(衣装のまま来てしまったのか)
宇津木 遙
宇津木 遙
(しまった、全く気づかなかった)
宇津木 遙
宇津木 遙
(このまま黒瀬に会いに行くのか...)
宇津木 遙
宇津木 遙
なんだかプロポーズみたいだ
その遙の一言によって駅中にざわめきが走った事を彼は知らない。
そしてざわめきに気付かぬまま彼は電車に乗り込んだのだった。























宇津木 遙
宇津木 遙
ふぅ...
宇津木 遙
宇津木 遙
(なんとか乗り換え出来たが)
宇津木 遙
宇津木 遙
(...中々言葉が纏まらない)
宇津木 遙
宇津木 遙
(難しいな、告白というものは)
宇津木 遙
宇津木 遙
(黒瀬は一体...)
宇津木 遙
宇津木 遙
...
宇津木 遙
宇津木 遙
(黒瀬、か)
宇津木 遙
宇津木 遙
(また「明」と呼びたいなんて伝えたら迷惑だろうか)
宇津木 遙
宇津木 遙
(...いや)
宇津木 遙
宇津木 遙
(例え迷惑でも)
宇津木 遙
宇津木 遙
(伝えないといけないよな)

























数十分後
宇津木 遙
宇津木 遙
...はぁ
宇津木 遙
宇津木 遙
駅に着いてしまった
宇津木 遙
宇津木 遙
(にも関わらず結局言葉は纏まらないまま)
宇津木 遙
宇津木 遙
(困ったな)
宇津木 遙
宇津木 遙
...あ

















.
花峰 楓
花峰 楓
「は?」
花峰 楓
花峰 楓
「告白の言葉が纏まらない...」
花峰 楓
花峰 楓
「ですって?」
宇津木 遙
宇津木 遙
...はい
宇津木 遙
宇津木 遙
楓先輩なら何かいい事を言ってくれる気がして
花峰 楓
花峰 楓
「いい事って何よ」
花峰 楓
花峰 楓
「...ハァ〜〜〜」
宇津木 遙
宇津木 遙
(凄く長くてデカい溜息を吐かれてしまった)
花峰 楓
花峰 楓
「あのねぇあんた」
花峰 楓
花峰 楓
「私は告白した事は無いから分からないけれど」
花峰 楓
花峰 楓
「あんたが思ってる事全部を着飾ること無く打ち明ければいいんじゃないの?」
宇津木 遙
宇津木 遙
思ってる事全部...
花峰 楓
花峰 楓
「わざわざ纏める必要は無いと思うわよ」
花峰 楓
花峰 楓
「あんたが言いたいこと全部、黒瀬くんにぶつけて来なさい」
宇津木 遙
宇津木 遙
...はい
宇津木 遙
宇津木 遙
ありがとうございます
花峰 楓
花峰 楓
「良いのよこれくらい」
花峰 楓
花峰 楓
「フラれたら承知しないから」
宇津木 遙
宇津木 遙
それはちょっと傷口に塩胡椒というか...
陽向 真昼
陽向 真昼
「花峰!遙と話してるのか?」
花峰 楓
花峰 楓
「え?ええ、そうだけど」
陽向 真昼
陽向 真昼
「遙!」
花峰 楓
花峰 楓
「ちょっと!勝手にスマホ取んないでよ」
陽向 真昼
陽向 真昼
「応援、してるからな!」
宇津木 遙
宇津木 遙
...!
宇津木 遙
宇津木 遙
はい
陽向 真昼
陽向 真昼
「報告楽しみにしてる」
宇津木 遙
宇津木 遙
プレッシャーかけないでください
陽向 真昼
陽向 真昼
「ははっ、悪い悪い」
宇津木 遙
宇津木 遙
あ、ところで
宇津木 遙
宇津木 遙
結果、どうでしたか?
陽向 真昼
陽向 真昼
「実は色々押してて、まだ結果は発表されてないんだ」
陽向 真昼
陽向 真昼
「だから後で追って連絡する」
陽向 真昼
陽向 真昼
「こっちの報告も楽しみにしてろよ」
宇津木 遙
宇津木 遙
はい
花峰 楓
花峰 楓
「じゃ、切るわね」
花峰 楓
花峰 楓
「頑張ってね」
陽向 真昼
陽向 真昼
「頑張れよ!」
宇津木 遙
宇津木 遙
ありがとうございます
プツッと軽い音を立てて電話が切れた
宇津木 遙
宇津木 遙
...行くか
遙は体育館の方へ走り出した

























ー東京体育館
宇津木 遙
宇津木 遙
(どこだ?どこに居るんだ)
宇津木 遙
宇津木 遙
(今すぐ伝えなきゃいけないことがあるのに)
体育館脇の階段に出る
そこには、誰もいない階段に座る一人の選手が居た
宇津木 遙
宇津木 遙
黒瀬!!
黒瀬 明
黒瀬 明
...宇津木
黒瀬 明
黒瀬 明
今日は来れないんじゃ
宇津木 遙
宇津木 遙
来たんだ
宇津木 遙
宇津木 遙
お前に会うために
黒瀬 明
黒瀬 明
俺に...?
宇津木 遙
宇津木 遙
(ああ、この後黒瀬になんて言おう)
宇津木 遙
宇津木 遙
(間違えた言葉を選んでしまうかもしれないけれど)
宇津木 遙
宇津木 遙
(飾らない言葉で、彼に)
宇津木 遙
宇津木 遙
(彼に好きだと伝えたい)
宇津木 遙
宇津木 遙
(いや)
宇津木 遙
宇津木 遙
(伝えるんだ)
__そして俺は浅く息を吸い込んだ
__まるで凍てつくように冷たい空気が、自分の体温に溶けていく様な気がした。

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