第17話

1-17 ごめん、明くん
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2021/12/28 00:08
一週間後
クリスマス
陽向 真昼
陽向 真昼
結局今年も彼女が出来ずにこの日を迎えてしまった
陽向 真昼
陽向 真昼
てかもう夜だし
陽向 真昼
陽向 真昼
クリスマス終わるんだけど
花峰 楓
花峰 楓
ばっかこれからがクリスマスでしょ
花峰 楓
花峰 楓
聖なる日舐めんじゃないわよ
陽向 真昼
陽向 真昼
こんな俺を労わってくれる花峰さん、この後ハンバーガー食べに行きませんか
花峰 楓
花峰 楓
ごめん先約ある
陽向 真昼
陽向 真昼
は?
陽向 真昼
陽向 真昼
男?
花峰 楓
花峰 楓
ご想像にお任せします
陽向 真昼
陽向 真昼
お前は仲間だと思ってたのに
花峰 楓
花峰 楓
勝手に仲間にしないで
香埜 柚季
香埜 柚季
先輩、今日も賑やかだね
宇津木 遙
宇津木 遙
そうだな
宇津木 遙
宇津木 遙
そろそろ切り上げて帰るか
香埜 柚季
香埜 柚季
だね
陽向 真昼
陽向 真昼
お、帰んのか?
宇津木 遙
宇津木 遙
はい
花峰 楓
花峰 楓
気をつけて帰ってね
香埜 柚季
香埜 柚季
こっちの台詞ですよ
花峰 楓
花峰 楓
舐めんじゃないわよ、こう見えて合気道やってました
宇津木 遙
宇津木 遙
お強い



















.
香埜 柚季
香埜 柚季
もうクリスマスかぁ...
香埜 柚季
香埜 柚季
早いね
宇津木 遙
宇津木 遙
そうだな
香埜 柚季
香埜 柚季
帰りどっか寄ってく?
宇津木 遙
宇津木 遙
いや、金が無い
香埜 柚季
香埜 柚季
奢るよ?
宇津木 遙
宇津木 遙
それは悪い
香埜 柚季
香埜 柚季
そっか残念
香埜 柚季
香埜 柚季
そういえば、そのマフラー
香埜 柚季
香埜 柚季
黒瀬くんのだよね?
宇津木 遙
宇津木 遙
ああ
宇津木 遙
宇津木 遙
返さなくていいと言われて、有難く使っていたのだが
宇津木 遙
宇津木 遙
最近凄く寒くなってきたし返そうと思って
宇津木 遙
宇津木 遙
まあ、返すにもかかわらず巻いてきてしまったのだけど
香埜 柚季
香埜 柚季
そういうとこあるよね
宇津木 遙
宇津木 遙
悪いところだ
宇津木 遙
宇津木 遙
この事話したら、明はどんな顔をするんだろう
宇津木 遙
宇津木 遙
怒られるかな
遙はふっと軽く笑った
香埜 柚季
香埜 柚季
...っ
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
体育館、電気ついてる
宇津木 遙
宇津木 遙
悪い、行ってくる
宇津木 遙
宇津木 遙
先に帰ってくれて構わない
そう言って体育館の方に歩き始めた
香埜 柚季
香埜 柚季
...
香埜 柚季
香埜 柚季
待って
香埜 柚季
香埜 柚季
はる...!
歩いていく遙を走って追いかける
宇津木 遙
宇津木 遙
わっ
後ろから遙を抱きしめる
宇津木 遙
宇津木 遙
どうした
宇津木 遙
宇津木 遙
具合でも悪いのか
香埜 柚季
香埜 柚季
...嫌なんだ
宇津木 遙
宇津木 遙
え?
香埜 柚季
香埜 柚季
はるが、黒瀬くんの話をしてるのが
香埜 柚季
香埜 柚季
黒瀬くんの話を振ったのは僕だから、おかしい事を言ってるのは分かってる
香埜 柚季
香埜 柚季
でも、僕じゃない奴の事で笑ってるはるを見るのは
香埜 柚季
香埜 柚季
嫌だ...
宇津木 遙
宇津木 遙
柚季?
宇津木 遙
宇津木 遙
不快にさせてしまったのなら謝る
宇津木 遙
宇津木 遙
けれど、どうして...
香埜 柚季
香埜 柚季
好きなんだ
香埜 柚季
香埜 柚季
ずっと前からはるのことが好きなんだ
宇津木 遙
宇津木 遙
...え?
香埜 柚季
香埜 柚季
ずっと言うのを我慢してたから
香埜 柚季
香埜 柚季
許して
遙のマフラーを軽く緩め、首筋に唇を近づける
そして、ピリッと痛みが走る
宇津木 遙
宇津木 遙
いっ...
宇津木 遙
宇津木 遙
な、何したんだ
香埜 柚季
香埜 柚季
別に
香埜 柚季
香埜 柚季
はるは知らなくていいよ
香埜 柚季
香埜 柚季
はる、こっち向いて
宇津木 遙
宇津木 遙
なん...
後ろを振り向いた瞬間、柚季の顔が近くにあって
あと数cmで唇が触れる...
宇津木 遙
宇津木 遙
ゆず、き...?
ときだった
黒瀬 明
黒瀬 明
おい
黒瀬 明
黒瀬 明
テメェ、何してんだ
宇津木 遙
宇津木 遙
明...!
明の顔は今まで見た事が無い程、怒りを露わにしていた
香埜 柚季
香埜 柚季
別に、見たまんまだけど
黒瀬 明
黒瀬 明
ふざけんな
香埜 柚季
香埜 柚季
ふざけるも何も無いでしょ
香埜 柚季
香埜 柚季
キミとはるは付き合ってる訳じゃないし
香埜 柚季
香埜 柚季
キミに関係無いじゃないか
黒瀬 明
黒瀬 明
あるから言ってんだよ
明が遙の腕を引いて抱き寄せる
宇津木 遙
宇津木 遙
わっ
黒瀬 明
黒瀬 明
今回は見逃してやる
黒瀬 明
黒瀬 明
早く行け
香埜 柚季
香埜 柚季
...
香埜 柚季
香埜 柚季
...全く、横暴だなぁ
香埜 柚季
香埜 柚季
まあいいや、僕的には満足だし?
黒瀬 明
黒瀬 明
は?
香埜 柚季
香埜 柚季
じゃあね、はる!また明日
宇津木 遙
宇津木 遙
あ、ああ!
黒瀬 明
黒瀬 明
...
黒瀬 明
黒瀬 明
遙、大丈夫か?
黒瀬 明
黒瀬 明
なんか変な事されてないか?
宇津木 遙
宇津木 遙
大丈、夫...
宇津木 遙
宇津木 遙
(じゃない!)
宇津木 遙
宇津木 遙
(告白?柚季が、俺に?)
宇津木 遙
宇津木 遙
(いつから?ずっと前ってどれくらい前だ)
宇津木 遙
宇津木 遙
(なんで気づかなかったんだ)
宇津木 遙
宇津木 遙
(柚希は今までどんな気持ちで...)
宇津木 遙
宇津木 遙
(最低だ)
黒瀬 明
黒瀬 明
遙?
宇津木 遙
宇津木 遙
あ、ああ、悪い
宇津木 遙
宇津木 遙
あ、そうだ
宇津木 遙
宇津木 遙
マフラー返すよ
黒瀬 明
黒瀬 明
お前、返すのに巻いてきたの?
遙はマフラーを外した
黒瀬 明
黒瀬 明
...は?
宇津木 遙
宇津木 遙
貸してくれてありがとう
宇津木 遙
宇津木 遙
って、明?
黒瀬 明
黒瀬 明
...それ
黒瀬 明
黒瀬 明
アイツにやられたんだよな
宇津木 遙
宇津木 遙
やられたって、何を...?
黒瀬 明
黒瀬 明
宇津木 遙
宇津木 遙
首...
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
宇津木 遙
(あの時...まさか...)
黒瀬 明
黒瀬 明
黒瀬 明
黒瀬 明
何があった
宇津木 遙
宇津木 遙
べ、別に特になにも
黒瀬 明
黒瀬 明
言え
宇津木 遙
宇津木 遙
...!
喉の奥がヒュッと鳴ったのが分かった
こんなドスの効いた明の声は聞いた事が無い
宇津木 遙
宇津木 遙
ご、ごめん
宇津木 遙
宇津木 遙
ごめん、なさい...
黒瀬 明
黒瀬 明
...いや
黒瀬 明
黒瀬 明
今のは俺が悪い
黒瀬 明
黒瀬 明
ごめん、感情的になった
宇津木 遙
宇津木 遙
違うんだ、明は何も悪くない
宇津木 遙
宇津木 遙
ただ、えっと
宇津木 遙
宇津木 遙
告白されたんだ、柚季に
黒瀬 明
黒瀬 明
...そっか
黒瀬 明
黒瀬 明
言いづらかったよな、言ってくれてありがとう
黒瀬 明
黒瀬 明
でも、そっか
黒瀬 明
黒瀬 明
俺、自惚れてたみたいだ
宇津木 遙
宇津木 遙
え?
黒瀬 明
黒瀬 明
きっと遙は自覚してないだけで俺の事好きでいてくれてるんだろうなって思って、自覚させようと頑張ってたけど
黒瀬 明
黒瀬 明
無駄だったんだな
宇津木 遙
宇津木 遙
そ、それは違う
黒瀬 明
黒瀬 明
何が違うんだよ
黒瀬 明
黒瀬 明
どうせ香埜にも返事返してないんだろ
黒瀬 明
黒瀬 明
俺への返事が決まっていたら、香埜の告白にもすぐ答えられてたはずだろ
宇津木 遙
宇津木 遙
...っ
黒瀬 明
黒瀬 明
ハァ...
黒瀬 明
黒瀬 明
一人で思い上がって勘違いして
黒瀬 明
黒瀬 明
馬鹿みたいだな、俺
宇津木 遙
宇津木 遙
明...
黒瀬 明
黒瀬 明
ごめんな
黒瀬 明
黒瀬 明
そもそも、俺からの告白自体が迷惑だったんだよな
宇津木 遙
宇津木 遙
そんな訳...!
黒瀬 明
黒瀬 明
...前も言ったけど
黒瀬 明
黒瀬 明
返事が来ないのって、すげぇ不安なんだよ
黒瀬 明
黒瀬 明
急かしてないなんて嘘だ
黒瀬 明
黒瀬 明
早く宇津木の答えが聞きたい
明は悲しみに歪み、酷く苦しそうな顔をした
宇津木 遙
宇津木 遙
...あ
黒瀬 明
黒瀬 明
悪い、カッとなりすぎた
黒瀬 明
黒瀬 明
...頭冷やすわ
宇津木 遙
宇津木 遙
あかり...
黒瀬 明
黒瀬 明
じゃあな、宇津木
宇津木 遙
宇津木 遙
待っ...!
追いかけなきゃ
でもなんて?
追いかけたところで、アイツになんて言葉をかければいいんだ
宇津木 遙
宇津木 遙
...
優しい明に、あんな顔をさせてしまった
宇津木 遙
宇津木 遙
...宇津木って、なんだよ
その場に座り込む
宇津木 遙
宇津木 遙
ごめん...ごめん...
宇津木 遙
宇津木 遙
ごめん明...ごめんなさい
どれだけ謝罪しても、彼の耳には届かない
宇津木 遙
宇津木 遙
...俺、最低だ
でも、俺には
ろくに友達を作ってこなかった俺には
どこまでが友達への好きで、どこからが好きな人への好きなのか
宇津木 遙
宇津木 遙
分からないんだ...

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