第33話

求婚31
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2022/04/22 07:20
私が江口さんのプロポーズを断ろうと思った理由。


それは前の恋愛があったから。


赤城乾景きみかげくん。


高校生の頃付き合っていた元カレ。


出会いは高2の2学期初め、クラスに転校してきたとき。


赤城「あ、赤城乾景です、」

「じゃあ、席は衣更さんの隣ね。」

赤城「よろしくね」

あなた『よ、ろしく…』


当時、いや今もだけど、極度の人見知りだった私は、突然出来た「隣の席の人」と仲良くなれるのかすごく不安だった。


でも彼はあまり話さない私に、優しく接してくれた。


赤城「衣更さん、次移動だよ、」

赤城「衣更さん!昼一緒に食べない?」

赤城「衣更さん、前これ気になってるって言ってたよね、!」


次第に「きみくん」「あなたちゃん」と、互いに下の名前で呼ぶようになり、それからすぐ、告白を受けて付き合うことになった。


赤城「好き、です。」

あなた『!』


一緒に行った花畑で、顔を真っ赤にしながら、手を繋ぎ帰った。


今でいう「陽キャ」な彼は、その見た目とは裏腹に、植物が好きで、詳しかった。





赤城「僕の名前の「乾景」って、両親が鈴蘭が好きだったから付いたんだ。」

あなた『なんで鈴蘭?』

赤城「鈴蘭の別名が 君影草 だから」


鈴蘭の花言葉は「再び幸せが訪れる。」


赤城「僕に幸せだと思える人生を歩んでほしい。って意味でつけたんだって。」

あなた『きみくん、そう思えてる?』

赤城_「もちろん、あなたちゃんといれるからね。」

あなた『! ふふっ何それ笑』





いつか聞いたそんな話。


そのすぐあとだった。きみくんの亡くなるところを見たのは。


4回目のデート帰り、いつものように手を繋いで笑いあって、きみくんは道路側を歩いてくれていた。


赤城「梅原って、そんなことするの笑?」

あなた『そー、』


いとこでも同じ学校だった裕のことをきみくんは知っている。


あなた『でね、そんとき裕が──』

赤城「あなたっ、!」

あなた『え、?』


飛び出した私に突っ込んできた大きなトラック。


私を突き飛ばしてぶつかったきみくん。


確かにその時は青信号だった、なのにきみくんは轢かれちゃった。

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