逃げてきた道をまた戻り、収録現場に到着。
「2人とも」とは言ってるいるけれど、私の方に視線が来ない。
体ごと拓篤の方に向いていた。
なんて変なことを思いながら拓篤と一緒に他の人に挨拶をしに行った。
もちろん、ぶりっ子さんには軽くニコッとするだけであとはスルーした。
数時間して収録は終了した。
他の皆さんに「お疲れさまでした!」と声をかけてぶりっ子さんと外に出た。
男性が居なくなったからか少し雰囲気が変わった。
その雰囲気からなにか愚痴などを言われる気配がして嫌な気がした。
5分ほど歩くと落ち着いた感じの喫茶店に着いた。
店員さんに席を案内され紅茶を頼んだ。
予想通り嫌な予感はまぁあたった。
なるべくはやく済ませたかったのだけど、長く続きそうな感じがした。
かなり勘違いされていて
それに呆れてため息をこぼしてしまった。
あまりのしつこさと自意識過剰さに苛立ちを感じて、少し大きな声を出してしまった。
いつも落ち着いた感じに見られていたから、私が声を荒らげたことにびっくりしている様子だった。
だいぶ怒っている様子。
だけどそんなの関係ない。
その私の大声がお店の隅から隅に響いてしまい、その場にいた人が全員こちらに視線を向ける。
大人しめの子が声を出してくれた。
それに驚いてぶりっ子さんは声を出すことをできていなかった。
この様子になんとなく気づき始めたお客さんは、コソコソと言い始めた。
この場所に居られなく感じたのか、そう言ってお店を出て行った。
........と、静かな時間が数秒。
そう謝るとみんな優しく
『大変だったんですよね?大丈夫ですよ』
『全然大丈夫です〜』
『1人成敗できましたね』
などなど優しい言葉をかけてくれました。
そうして幸せな気分でお会計をして家に向かった。
ぶりっ子さんが、お金を払ってないのはだいぶ後に気づきました。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。