どっちって言われても……
拓篤が起きてしまったが
またすぐに寝た。
恋愛的に……。
私は、今まで2人をそう見たことがなかった。
しんた兄ちゃんは昔から仲がいいし…血繋がってないのが不思議なくらい。
徹也くんは、いつも優しくておもしろくて、時に真面目で…
さっきまで怒った顔をしてたのに……。
それを我慢するかのように無理やり笑顔を作って言った気がした。
しんた兄ちゃんは、徹也くんの言葉を聞いて呆れたような声をして言った。
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気まずい中収録をし、無事にロケ終了
家に帰ってきたのは夜の10時頃。
帰ってきてすぐに自分の寝室に向かった。
私が今日寝る部屋は徹也くんの部屋だった。
みんなが部屋に戻って
静まったリビングでそう聞かれた。
あの言葉を聞いた瞬間
自分は特別じゃないことに気づいた。
いつも笑顔で仲良くしてくれて…兄妹のように楽しく過ごしてたから、特別だなんて勝手に思い上がってた。
外に出て行くあてもないけど…ただあの家から離れたかった。
自分のバカな頭を冷やしたかった。
5分くらい歩くと明るい街に出た。
すると…強い雨が降り始めた。
頭を冷やすのにはちょうどいい……
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!