第90話

*(89)
11,836
2020/11/10 11:46



(🐰)




目が覚めると天井が白くて「あぁ、生きてるんだ」と思った


隣に目を向けるとあなたが俺の手を掴むように寝ていて、うっすらと涙の跡があって

「あぁ、また心配かけちゃったなぁ」
頬を伝う涙の跡を撫でると、あなたが目を開けた





そこには1番会いたくてたまらなかった


あなたの姿があった。









ぐく
ぐく
「ごめん、起こしちゃった?」




酸素マスクを曇らせながらか細く声を上げるグクの姿に何度も夢なんじゃないかって目を擦ったけど




You
You
「夢……?」
ぐく
ぐく
「生きてるよ…、ちゃんと。」
ぐく
ぐく
「心配かけてごめんな」


酸素マスク越しでもわかるあのクシャッと笑う笑顔に思い切り私はグクに飛びつくと、

ほんのりグクの匂いがして、首にかかる吐息が弱々しくて、でも生きてるんだって思うと嬉しくて
You
You
「グク……っ、」
ぐく
ぐく
「いきなり飛びついたら危ないだろ~?」


グクに抱きついたまま何度も名前を呼ぶとその度に「ん?」って顔を傾げる


ぐく
ぐく
「会いたかったよ、あなた。」
You
You
「やっと逢えたね…」
You
You
「寂しかったよ」
ぐく
ぐく
「1人で寂しい思いさせてごめんな」
ぐく
ぐく
「俺がバカだから、弱くてごめん。」
You
You
「1人じゃなかったから大丈夫だよ」

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