第54話

*(52)
12,771
2020/10/27 10:00


診察が終わるとチェヨンは私に駆け寄ってくれた


私が話し出すまでずっとそばにいてくれた。



You
You
「あのね、
やっぱりお腹に赤ちゃんいたの。」
You
You
「2ヶ月の終わりだって…」
You
You
「赤ちゃん見た時不思議な感覚だった。見ても実感あんまり湧かなくて」
チェヨン
チェヨン
「うん、うん。」
You
You
「でもその小さな影が脈打ってて、どうしたらいいかわかんなくなった」
You
You
「だから、赤ちゃん見て決めようかなって、」
チェヨン
チェヨン
「ん?」


先生が産まれたばかりの赤ちゃんを
窓越しに見せてくれた。






そこには白いおくるみに包まれてまるで芋虫みたいな赤ちゃんたちが沢山いた

寝てる子も居ればお母さんに優しく抱かれていたり、ミルク飲んでる子もいたりーー










ナム先生
ナム先生
「やっぱり赤ちゃんって可愛いですよね」
ナム先生
ナム先生
「僕も何かに悩んだりするとここに来て、赤ちゃん見て頑張ろって思うんです」
ナム先生
ナム先生
「人間って他の動物よりも産まれた時に何も出来なくてでもそれがどんどん大きくなって歩いて自分で人生決めていくんです」
ナム先生
ナム先生
「まだ実感はないだろうけどあなたさんもその子のお母さんだから、その子が幸せになる道を選んであげてください」
You
You
「はい……ありがとうございます。」


病院に着いた時よりもはっきりした受け答えになった私を見て、「赤ちゃん抱っこしてみますか?」って
ナムさんは赤ちゃんを1人連れてきてくれた



You
You
「いいんですか…??」
ナム先生
ナム先生
「実は恥ずかしながら僕の子なんです」
ナム先生
ナム先生
「一昨日産まれて」
チェヨン
チェヨン
「わぁ~可愛いっ!!」
チェヨン
チェヨン
「先生にそっくりですねっ!」
You
You
「……?!」

その赤ちゃんは私の指をぎゅっと握りしめた

自然と頬を伝う涙を感じた。









You
You
「私も先生みたいに強い親になれますか?」
ナム先生
ナム先生
「なれますよ、少なくともあなたの今の顔はお母さんの眼差しですよ。」





この日ほんの少しだけ、
お母さんへと近づけた気がした。









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