第66話

*(64)
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2020/10/31 11:00
ぐく
ぐく
「いたっ……」




あなたのいない部屋で一人呟いた。
腕に刺さったアイスピックを抜いて、タオルで固定して痛みをやわらげた。





真っ暗だったはずの部屋が少し明るくなった



ぐく
ぐく
「あなたのスマホ?」



近づくと光ったのはスマホではなくパソコンだった




ぐく
ぐく
「……え?…」



パソコンの履歴にはあなたが検索したであろう
検索履歴が沢山残っていた





ぐく
ぐく
「嘘だろ……。」
ぐく
ぐく
「あなた…妊娠してたんだ。」



俺は確証を得るためにあなたの机やスマホをいじると、机の中からあなたのサインの入った中絶同意書



それから手帳に挟んであったエコー写真。


その写真の小さいなところに書いてある文字は

約2ヶ月前を表記されていた








ぐく
ぐく
「もしかしてあの時……。」






顔色が悪かったのもそのせいなのか

たまに辛そうだったのも。

思い返せばおかしなこと山ほどあった




手元にあった母子手帳の『父親』

中絶同意書の『配偶者』 どちらも記入すべき所が空白で

俺に話せない間にどれほど悩ませてしまったんだろうか











ぐく
ぐく
「なんで気づいてあげられなかったんだろ、俺。」
ぐく
ぐく
「ごめんな。」

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