第119話

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2020/11/24 11:20







すっかり冬を迎えてはぁと息を吐くと白くなる

「ウサちゃん?」声をかけると反応する

愛しいグクとの赤ちゃん。
ベンチに腰かけて

「グク会いたいよ…」青空に向かって名前を呼ぶと

「呼んだ?」振り向かなくても分かる、その暖かい声




一瞬でふわっと彼の香りに包まれて、荒い呼吸と汗にどれだけ心配させたのか伝わった



You
You
「どうしてここが…」
ぐく
ぐく
「俺と喧嘩した時とかいつもここに来て、このベンチに座るからすぐわかったよ」
ぐく
ぐく
「でも、1人にしてごめん」
       喧嘩するといつも来るこの場所


「あなた?」とグクの声に重たい瞼を開けると眉を八の字にして、心配そうに私を見るグク

ぐく
ぐく
「こんな所でだめだろ?お腹冷えちゃうよ」
ぐく
ぐく
「頑張って元気な子産まないと」
You
You
「え……?」
ぐく
ぐく
「ごめん、おれ間違えてた。俺もその子に会いたい」
ぐく
ぐく
「会って、生まれてきてくれてありがとうってちゃんと伝えたい」
You
You
「うん…、ありがとう」
ぐく
ぐく
「おれはあなたの痛みやつらさを全てわかってあげることは出来ないけど、あなたが辛い時は俺も辛いし、あなたが嬉しい時は俺もうれしい」
ぐく
ぐく
「きっと赤ちゃんも一緒だよ、だからこの子の分も沢山笑おう」
You
You
「私たちの元へ生まれて良かったって思って欲しい」
ぐく
ぐく
「俺も頑張るから3人で乗り越えよう!!」
ぐく
ぐく
「それに俺たちの子だよ??スーパー元気に決まってるよ」
You
You
「なにそれ~なんの根拠もないじゃんっ」
You
You
「でも、パパとママはあなたのことをこんなに愛おしくて産まれてくるのを楽しみにしてたんだよって伝えたい」




ねぇぐく、
なんの自信も根拠もないけど、ぐくとなら乗り越えられる気がするよ




























でも、そう信じたかったよ。 ごめんね



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