第113話

*(111)
9,905
2020/11/21 07:39




" 赤ちゃんを諦める……? "



この子は今もここで生きている




ちゃんと生きようとしてくれてるのに?




病院を出てからグクが後ろから追いかけてきて

責めるわけでもなくただそばに居てくれた


いっそ責めてくれればいいのに。



" お前のせい "って言ってくれた方が楽なのに


グクをまっすぐに見つめるとわびしげな表情をする

困らせたいわけじゃないの、ただこの子が大事なの




ぐく
ぐく
「あのさ……、その…、」
You
You
「ぐくは、赤ちゃん諦めよう!!とか言わないよね?」
You
You
「だってあんなに喜んでくれたじゃん?」
ぐく
ぐく
「あなた……今回は諦めよう…」
You
You
「今回…?なにそれ」
You
You
「この子は" この子だけ "なの」
You
You
「それに今だって一生懸命動いて生きてるんだよ?」
You
You
「ぐくは所詮欲しくて作った子じゃないもんね」
ぐく
ぐく
「俺は男だから確かにあなたが感じるほどは理解できない」
ぐく
ぐく
「でも俺はまだ産まれてもないその子よりお前の方が大切だから」



「でも…」その先の言葉に詰まって私の前では泣かないけど声は涙声で


自分の口から出る一言ひとことが


胸に突き刺さって涙が溢れてくる






You
You
「私からこの子を奪わないで」



彼を拒むように腕を抜くと寂しそうな顔をする

私だって泣きたいし辛い。


ぐくが悪いわけじゃないのに私のせいなのに

ただ後悔だけが押し寄せる





You
You
「ぐく、赤ちゃん。ごめんなさい」
You
You
「少しひとりにさせて」

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