救急車から降りるとそのまま緊急手術となり
何も手にすることなくただ祈り続けた
「グクなら大丈夫。」「私たちを置いていかない」
手術中のランプが消えて慌てて立ち上がると、
「手術は無事成功であとは本人の意識の回復を待つのみ」と担当医は安堵の表情を浮かべた
眠ったままのグクの横の椅子に座ると看護師さんに「これ…」と渡されたのは「ごめん。」と書かれたメモ
酸素マスクにたくさんの器具のついた身体
微動だにしないグクの手を撫でると
所々傷があってどれだけ痛くて怖い想いをしたか
私は聞こえてるかもわからないグクに何度も話しかけてただただ後悔した。
そういえば今日はいつも痛いほど蹴ってくる胎動がほとんど感じることが出来なくて
この子もパパが心配なのかななんて思って、
こういう時も思い出すのは楽しい時の思い出ばかりで
「辛い時聞いてみて!」て何気なく聞かされていた
グクの好きな『Through the Night』をくちづさむと歌詞も考えず聞いていた歌も
まるでグクからのメッセージのような気がして
落ち着くことできてグクの手の上に頭を置いて
そのまま眠りについた
グクの手がピクリと動いたことも知らずに
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。