第89話

*(88)
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2020/11/10 14:37




救急車から降りるとそのまま緊急手術となり


何も手にすることなくただ祈り続けた



「グクなら大丈夫。」「私たちを置いていかない」





手術中のランプが消えて慌てて立ち上がると、

「手術は無事成功であとは本人の意識の回復を待つのみ」と担当医は安堵の表情を浮かべた






眠ったままのグクの横の椅子に座ると看護師さんに「これ…」と渡されたのは「ごめん。」と書かれたメモ



酸素マスクにたくさんの器具のついた身体


微動だにしないグクの手を撫でると


所々傷があってどれだけ痛くて怖い想いをしたか

私は聞こえてるかもわからないグクに何度も話しかけてただただ後悔した。







You
You
「ねぇ。起きてよ…」
You
You
「私ひとりでこの子をどうやって育てればいいの」
You
You
「私たちの子なんだねって沢山笑いかけてよ」




そういえば今日はいつも痛いほど蹴ってくる胎動がほとんど感じることが出来なくて


この子もパパが心配なのかななんて思って、




You
You
「大丈夫だよ?あなたのパパは私たちを置いていかないから」





こういう時も思い出すのは楽しい時の思い出ばかりで

「辛い時聞いてみて!」て何気なく聞かされていた

グクの好きな『Through the Night』をくちづさむと歌詞も考えず聞いていた歌も

まるでグクからのメッセージのような気がして

落ち着くことできてグクの手の上に頭を置いて




そのまま眠りについた






















グクの手がピクリと動いたことも知らずに





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