私はあの日以来久しぶりにグクと暮らした家に向かった
あの時渡せなかった合鍵を返すため
グクが仕事で居ないだろう時間に
「ん?」ドアノブに手をかけるとドアが空いていた
この時私は自分がした選択に後悔をする
そこにはやせ細った姿だけども愛おしくてたまらない彼が立っていた
本当はすぐに抱きつきたかったけど
離れるって決めたのは自分だから。
「こっち来て」
彼の横のソファーに促されて腰掛けた
少し距離を取ると少し顔を歪めた
答えずにいると悟るように悲しそうな顔をした
1度も目を合わせない私を見てグクは寂しそうに呟く
その姿を見ると涙が溢れそうになる
俺はあえて妊娠の事もこれからどうするかも触れずに過ごした。
きっとあなたも触れないで欲しいと思ってるはず。
玄関へ戻ろうとすると手を引かれて唇が触れた
「行かないで」って言って欲しかった。
「愛してるよ」ってその言葉一つで許せちゃうのに
暖かい唇が離れると二人とも頬に涙伝っていた
「" またね "」
笑顔で言われると胸が張り裂けそうになって
「 " まだ一緒にいたい "」
この一言が言えてれば私たち変われたのかな
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。