第82話

*(81)
12,114
2020/11/06 11:53



私はあの日以来久しぶりにグクと暮らした家に向かった


あの時渡せなかった合鍵を返すため


グクが仕事で居ないだろう時間に





「ん?」ドアノブに手をかけるとドアが空いていた



この時私は自分がした選択に後悔をする







You
You
「あれ、空いてる…」
ぐく
ぐく
「あなた……っ」



そこにはやせ細った姿だけども愛おしくてたまらない彼が立っていた

本当はすぐに抱きつきたかったけど


離れるって決めたのは自分だから。



ぐく
ぐく
「どうした…?」
You
You
「鍵…合鍵返しに来たの」



「こっち来て」

彼の横のソファーに促されて腰掛けた

少し距離を取ると少し顔を歪めた








ぐく
ぐく
「ずっとどこに居たの?」
You
You
「ネカフェとか」
You
You
「あとは友達の家に泊めさせてもらった」
ぐく
ぐく
「友達って男?」


答えずにいると悟るように悲しそうな顔をした
ぐく
ぐく
「そっか…」
ぐく
ぐく
「あ、コーヒー。淹れるね」
You
You
「ううん、鍵置きに来ただから」
ぐく
ぐく
「あなた……」


1度も目を合わせない私を見てグクは寂しそうに呟く

その姿を見ると涙が溢れそうになる



ぐく
ぐく
「手紙ありがとう」
ぐく
ぐく
「あなたも頑張ってね、応援してるよ」




俺はあえて妊娠の事もこれからどうするかも触れずに過ごした。
きっとあなたも触れないで欲しいと思ってるはず。



You
You
「帰るね…っ」




玄関へ戻ろうとすると手を引かれて唇が触れた


「行かないで」って言って欲しかった。


「愛してるよ」ってその言葉一つで許せちゃうのに


暖かい唇が離れると二人とも頬に涙伝っていた



「" またね "」




笑顔で言われると胸が張り裂けそうになって





「 " まだ一緒にいたい "」




この一言が言えてれば私たち変われたのかな








プリ小説オーディオドラマ