屋上から下りて、2人並んで廊下を歩く。
明日は学校は休み。
明日の昼、吉田はデンジとパワーと顔合わせをすることに。
女が吉田の腕を掴む。
あなたには目もくれず、吉田を見つめている女。
吉田は一瞬あなたを見て、目を逸らす。
その一瞬の目配せが、
「どっか行って」
という意味に捉えられてしまったらしい。
咄嗟に女の腕を振りほどいてあなたの手首を掴む。
一瞬沈黙が流れる。
なんであなたが居るとこで誘ってくるかな
って思って
…いや、
あなたには何も関係ないのに
なんで俺はあなたにこんな
黙り込んだ吉田。
掴まれている手首を上げる。
腕を掴まれても表情ひとつ変えないあなた。
その時、チャイムが鳴る。
腕を振りほどいて歩いていく。
放課後、吉田に用事は無い。
少し食い気味に答える。
ホームルーム終了後
通知音がして、吉田は携帯を見る。
さっきの女の子から連絡。
皆が帰った教室に1人、机に頬杖をついて待つ。
教室に入ってくる。
女は吉田の膝の上に座って、首に腕を回す。
そう言って顔を寄せる女。
吉田は、教室には抵抗あったものの、
いつものように流れに任せて、拒みはせず受け入れる。
しばらくして突然、ドアが開く音がした。
2人がドアを見ると、
そこには何故か
あなたが立っていた。
あなたが走り去っていく。
驚きもせず笑っている。
おそらくこの女が仕組んだんだろう、と一瞬で察する。
別に見られても問題ない
アイツは関係ない
ニコニコ笑っている目の前の女。
椅子から立ち上がって、あなたを追いかけて出ていく。
不快だった。
キスしているところを見られたことも、
俺を見た時のあなたの表情も。
でも、その気持ちが何を意味しているのか
この時の俺には、まだ分からなかった。
いや、
もう分かっていたのかもしれない。
それでも、認めたくなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。