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第1話

“初めて喋った”男子生徒 Ver.1
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2018/06/11 12:05
私は、あなた 。
今、高校1年生である。この、桜川高校に入学してからまだ日はたっていない。
だが……“友達がひとりもいない”のだ。
ま、まぁ、仕方がない。
私は、人とのコミュニケーションをどうやって取ればいいのか分からない。それに、あんなキャピキャピすることも出来ない。
昔っから地味だって言われるけど…
き、気にしてないもん!!
冬弥
冬弥
おーい 。
あなたさーん 。
あなた

はぅあ!?

驚きのあまりに変な声を出してしまった。
その声で目の前の男子はクスッと笑った。
冬弥
冬弥
面白いね 。
あ、そうだ 。ねぇねぇ、これ教えてくれない?
目の前の男子は、ある問題を見せてくれた。
それは、数学の問題であった。それに、この問題は高校に入ってすぐに習った簡単な問題だ 。 何故に、できないんだ!
あなた

え、あ…、いいですよ 。
えっと、見せてください 。

冬弥
冬弥
おっ、サンキュー
そういって、男子生徒は私の隣の席に座った。男子とは初めて喋るから緊張して言葉が詰まりそうだ。
あなた

え…と、これは……して 。
……あ、違います、こうやって…
…そうです、…はい 。 はい 。
あ、正解です!

冬弥
冬弥
おっ!あってる?
ありがとう!めっちゃ分かりやすかった!
そういって微笑んだ 。
人に褒められるのは初めてだった 。
私の両親は、どちらとも名門大学を卒業しているため勉強にはうるさい 。100点を取ったとしてでも褒めてもくれないのだ 。

そして、私は少し顔を赤く染めた 。
冬弥
冬弥
…… 。
急に男子生徒がポカーンとしたまま私を見つめた 。
あなた

え……と 。
どうか、なさいましたか ?

はっ!とすると、男子生徒はなんでもないよと微笑みかけた 。そして、席から立ち上がった 。
冬弥
冬弥
そうだ !
ねぇ、放課後ってさ暇?
あなた

え、放課後……ですか?

“そうだよ”と言っているような笑顔で頷いた 。その笑顔は、とても可愛かった 。なんて言うか…柴犬の太郎丸みたいな…可愛さかな…
冬弥
冬弥
太郎丸 ?
あなた

はぅ!?
い、いえ、なんでもありません!!

しまった…
心の声が漏れていた…!!

私は、咄嗟に誤魔化した 。
その姿をみて男子生徒はクスッと笑った 。
冬弥
冬弥
んで、どーなの?
空いてる?
男子生徒は、急に顔を近づけた 。
咄嗟に顔を隠したが、少し隠れきれていなかった 。
あなた

あ……いてますっ

無意識に答えてしまった 。
そして、男子生徒は顔を遠ざけ、Winkをした 。
冬弥
冬弥
じゃあ、決まりだね 。
それじゃ、放課後また、ここで!
そういって、教室から去っていった 。
あなた

なんだったの……かな…

そうぼそっと呟き、机に顔を伏せた 。

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