無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

87
2021/08/21

第17話

第3章【筋書き】#02
#02[放送事故]


先日紡ちゃんに見せてもらったWeb番組の企画が早速始動する事になり、セットを作る事から始めるとの事だったので手伝いにきた。


「すみません、あなたさんにまで手伝って頂いて…。」


「いいのよ、私が言ったんだし。こういうの作るの結構大変だから人手は必要でしょう。終わったら早速撮るんだっけ?カメラはわかる方だからわからない事あったら言ってね。」


「ありがとうございます…!」


小さめの装飾を準備しつつ、皆の様子を見るとわいわいと楽しそうに作っている。


こういう1つの物を皆で作るのは久々だったので少し心が踊った。


黙々と作業をしているとクッションに目玉?を刺した謎のマスコットを抱えた壮五くんがこちらに来た。


何ていうキャラクターなんだ…?


「そういえば、この間皆が見たあなたさんのLIVEを僕も昨日拝見させて頂きました。歌声に込められる想いが伝わって、とても感動しました!」


紫の瞳をきらきらと輝かせながらストレートに感想を伝えてくれるのでちょっと恥ずかしい。


「そこまで言われるとちょっと照れちゃうな…。でも嬉しいよ、ありがとう。」


「今度LIVEに行ってみたいです。次のLIVEとかって決まってますか?」


「んー、今のところはまだ決まってないかな。」


次か…。


彼らのデビューが決まるまでは特にイベントに出る予定もないし、ワンマンLIVEもまだ何も考えていない。


今から企画するとしても来年くらいになるし、それまでにはきっと7人でデビューしているだろう。


そろそろ考えていても良いのかもしれない。


「環さん、壮五さん、そろそろ…。」


「あぁ、仕事…。」


「すみません、早めに戻るので…。」


「こっちは平気だって。」


「仕事頑張って!」


「それじゃあお疲れ様です。」


「お疲れー!」


仕事の為途中で離脱する2人を見送り、また作業に戻ろうとするとポケットに入れていたスマホが震える。


「ごめんちょっと電話してくるね。」


そう言って部屋から出てスマホを取り出し通話ボタンを押した瞬間に明るい声が聞こえてきた。


『あっもしもし!今大丈夫??』


「少しだけなら。どうしたの急に。」


『ユキに聞いたよ、こないだTV局に仕事で来てたらしいじゃん!会いに来てくれなくてモモちゃん寂しかったんだからっ。』


「だって挨拶回り行ってるって聞いたし、百さんたちいつも忙しいでしょう。」


『そんな気遣わなくて良いし、それにあなたの為なら時間作るって!あ、もしかして今作曲とか忙しい感じ?それともLIVEがあったりする?』


「そういうわけじゃないよ。LIVEもまだ未定かな。」


『去年は俺たちのLIVEと被ってたから行けなかったけど、次はスケジュール調整して絶対行くからその時は教えてね!』


「はいはい、する時はチケット送るから。あんまり岡崎さんを困らせたら駄目だよ?」


『大丈夫!おかりんもあなたのLIVE行きたがってたし!…あ、呼ばれたから行くね、電話出てくれてありがとう。近々ご飯でも行こう、じゃあまたね!』


「うん、またね。」


仕事の合間に電話してきてたのか、相変わらず忙しい人だな。


でも電話越しだけど久しぶりに元気そうな声を聞けて少しほっとした。


千さんも百さんも昔ほど遊ぶ時間は少なくなったけど忙しくなった今でもこうしてたまに連絡をくれたり変わらず接してくれる。


ありのままの自分を好きでいてくれる、私の数少ない友人たちだ。


「ありがとうはこっちの台詞だよ…。」


────


セットの準備が整い、軽くリハーサルをしていざ本番。


私はカメラを構える万理さんの斜め後ろで彼らを見守る。


「本番5秒前!4…3…。」


「…こんばんは!キミと愛ドリッシュないと!七瀬陸です!」


「和泉一織です。」


「二階堂大和です。」


「和泉三月です!」


「ワタシは、ナギ・ヴァルファルト・フォン・ノー…」


「ごめん、ちょっとカメラ止めてー。……何で自分の名前盛ってんだよ!!本名言えよ、本名!」


「痛いデース!ホンミョウ?…ワタシの名前デスゥ〜!」


三月くんがナギくんの頬をつまんで引っ張りあげる。


何か長そうな名前だったけどハーフだし向こうの名前を言ったのだろうか?


なんて考えていると隣で紡ちゃんが何やら慌てた様子で持っているスケッチブックに書き込んでいる。


そっと覗くと見えた文字は。


【生放送です!】


「えぇっ生!?本番って生放送!?」


「本番ってそういう意味かよ!」


「そういうことは事前に言って下さい!あぁっ…落ち着いて、カンペを落とさないで…!」


今吃驚している彼らはもちろん私もまさか生放送とは知らなかったので思わず声が出そうになったがグッと堪えた。


危ない危ない、声で【七夕洋】だとバレる可能性だってあるのだから気をつけねば。


「えっ、えぇとそれじゃあ最初のコーナー、【伝えそびれてすみません】行ってみましょう!」


紡ちゃんが大慌てで書き込んだカンペを陸がそのまま読んでしまい、紡ちゃんが声にならない悲鳴をあげる。


「違う違う!それコーナー名じゃないから!」


「捲って!早く捲って!」


さらにパニックになってしまう紡ちゃんからスケッチブックを奪いカンペを捲って番組の進行を進めた。


野外LIVEの時といい彼らのグループには何かしらトラブルが付き物のようだ。


まぁこういうのも彼ららしいのかもしれない。


そうして始まったWeb番組は回数を重ねる毎にじわじわと視聴率を伸ばし、時折ハラハラさせる場面もありながら【MEZZO"の所属グループ】ではなく【IDOLiSH7】という1つのグループとしての認知度を上げていくのであった。


────