ふと、俺の頭の中に、麻友ちゃんの言葉がよぎる
「私は…人が怖いです」
人が怖いのは、なぜだろう?
麻友ちゃんが発してから、ずっと考えていること
麻友ちゃんは、めったに笑わない。笑うといっても、俺の周りにいる友達みたいに
大きな声で楽しそうに笑うのではなく、さみしそうに笑う
そんな風に笑うのはきっと、怖いからだろう
優人の家
高校に入る時に無理に親に言って、用意してもらった家。
門限が厳しいうちには、居たくなかった。
だから、高校を入ると同時に別居、俺にとっては、最高だった。
俺が麻友ちゃんと出会ったのは、高校2年生の時
親に頼って生きてきた俺にとって、麻友ちゃんは自由に生きる鳥のようだった。
自分の意思を頼りに自分で道を作って、自分の道を歩いてきた、
そんな風にしか見えなかった。まさに俺の理想だった。
気づいた時には、話しかけていた
透き通るような目、綺麗な髪、今にも触りたくなるような手
でも…どこか悲しそうだったのを今でも鮮明に覚えている
この時俺は、緊張で汗が止まらなくて、きっと、声も震えていたと思う。
俺は、人生初めて、一目惚れをした瞬間だった。
笑ったら?泣いたら?怒ったら?どんな顔をするんだろう?
以来、それしか頭になかった。
あと何回、俺は君に会えるだろう?
あと何回、俺は君の名を呼んで、君は少し迷惑そうな顔をしながら、
「先輩」と言ってくれる?
ねぇ、君が大好きだから、俺の前から、消えないで
君の余命まであと、2週間
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。