第20話

目覚め
444
2021/09/21 13:32
次の日────
3人は愛華の病室にいた。
大門 伸
大門 伸
愛華………
木下 まや
木下 まや
……………
松尾 星
松尾 星
……………
目覚めるのを心待ちにして……
松尾 星
松尾 星
いつ目覚めるんだろうね
木下 まや
木下 まや
先生によると今日には目覚めるらしいけど遅くても2日だって
松尾 星
松尾 星
あれだけ酷い目にあったからね……
そのせいで遅くなることもあるか
3人は物置部屋で見つけた時の愛華の姿を思い出す。
大門 伸
大門 伸
……お前ら、休憩してこいよ
大門 伸
大門 伸
昨日、全然寝れてないんだろ
特にまや
木下 まや
木下 まや
そんなこと言ったら伸だって
目の下にあるクマはなによ
大門 伸
大門 伸
お前もだろ……
松尾 星
松尾 星
じゃあ、お言葉に甘えて休もうか
木下 まや
木下 まや
えっ、ちょっと!
松尾 星
松尾 星
まや、2人きりにしてあげよう
木下 まや
木下 まや
………うん
そうして2人は病室から出て行った。
大門 伸
大門 伸
………………
愛華と2人きりになった伸は愛華の頭を撫でながら語る。
大門 伸
大門 伸
……なぁ、愛華
大門 伸
大門 伸
覚えてるか、幼稚園の頃
大門 伸
大門 伸
愛華が引っ越してきて仲良くなって、俺の世界は一変した。
大門 伸
大門 伸
いつも笑顔でいつも傍にいてくれる愛華はすごく輝いて見えて
大門 伸
大門 伸
俺はそんな愛華に惚れたんだ、初恋だ
大門 伸
大門 伸
小学生になってもそれは変わらなくて愛華と過ごす毎日はとても楽しかった
大門 伸
大門 伸
疎遠になって中学生になって俺はすごく後悔した。いっときの恥という感情で愛華から離れたこと……
大門 伸
大門 伸
でも、ずっと好きだという感情は変わらなかったから告白しようとしたけど俺は弱いから怖気付いた
大門 伸
大門 伸
そして、今回のことが起きた
大門 伸
大門 伸
このまま言えずに終わるのかって思ったらまた後悔が押し寄せてきたよ
大門 伸
大門 伸
人間、失ってやっとわかるんだな
大門 伸
大門 伸
こんなことになるんだったらもっと早くに言っとけばよかった……
大門 伸
大門 伸
……愛華、礼を言うのは俺の方だよ
大門 伸
大門 伸
俺と仲良くなってくれてありがとう
いつも傍にいてくれてありがとう
そして……
大門 伸
大門 伸
俺に恋を教えてくれてありがとう
大門 伸
大門 伸
俺もさ愛華に話したいこと沢山あるんだ。疎遠になった分、沢山話したい。
大門 伸
大門 伸
俺一人じゃなくて一緒に幸せになろう
大門 伸
大門 伸
だから、早く目覚ませ
また俺の傍……いや隣にいてくれ
大門 伸
大門 伸
愛華………
新谷 愛華
新谷 愛華
……………
大門 伸
大門 伸
……………
新谷 愛華
新谷 愛華
………伸の隣にいたら幸せになれる?
大門 伸
大門 伸
ッ……!あぁ、もちろんだ
新谷 愛華
新谷 愛華
じゃあ、これからも隣にいるとしよう
大門 伸
大門 伸
ん……そうしてくれッ……
新谷 愛華
新谷 愛華
フフッ……おはよう、伸
大門 伸
大門 伸
おはよう、愛華
2人は涙を流しながら優しいキスを交わした───
その後、目覚めた愛華は驚くほど元気だった。頭の傷は少し縫ったものの髪の毛で隠れて目立たないし、足首も多少痛むが歩けないほどではなかった。

まやと星はというと、目覚めた愛華を見てまやが大泣き。星はそれを宥めながらも安心していた。

そして、愛華は退院した。




退院して2日後、ついに“卒業式”だ。

プリ小説オーディオドラマ