「先生も、ご存知の通り、私は6年間くらい病院に行っていません。…でも、薬を貰いに薬局は行っていました」
「そうらしいね」
「はい。…でも、先生が聞きたいのはそういうことでは無いんですよね……」
「うん」
「実は…新しくなった主治医の先生に色々されたんですよね。」
「例えば?」
「診察中に聴診するじゃないですか、その時にちょっかい出されたり、、超音波の時に態と力を入れたりとか…色々ですよ」
「はぁー?有り得なっ。」
「最初の頃は、それをされても行ってたんですよね。でも、、小4の時までは、きちんと行ってたんですけどね、毎週されるので嫌になって行かなくなったのと……………」
「のと…?」
「ある時、主治医の先生に『もう来なくていい。』と言われたんです。私は、『どうしてですか?』と聞いたんです。そしたら、『俺は君の主治医をしたくない。見ているだけで腹立つ。1年間我慢した俺を褒めろ』と言われたんですよね。その時、私は意味が分からずまま、流れで『ありがとうございました』と行って、退出したんですよね。それ以降行ってないです」
「意味不明だな。 でも、行って欲しかったな」
「でも、、先生? 行かなくていいと言われた時、怒り顔で、壁ドンをして言ってたんですよ?私は本気で来なくていいんだなと思いました」
そう言うと松星先生は驚いた顔をしながら固まっていた。
暫くして、松星先生が口を開く。
「……………酷いな。小学生にそんなことすんの。 …それは、行かないという選択肢は正しかった。 ……ごめんね、優花ちゃん」
「なんで、謝るんですか? 私がそんなことされるのなんか当たり前なのに。 うざいじゃないですか、私という存在が。」
そう言うと、松星先生は更に驚いた顔をしていた。
「…………優花ちゃん、、自分が邪魔な存在とか…いわないでくれよ……。。」
私は松星先生が言っていることがよく分からなかった。本当のことしか言ってないのに。
「どうしてですか?」
「優花ちゃんは、いらない存在なんかじゃないよ。俺にとって大事な患者さんだよ。」
「……似たようなことを今野先生も言っていましたけど…………本当にそうなんですかね…?」
「柚佳と俺の言っていることは本心だよ。偽りなんかないよ」
「………………………………そうなんですね。わかりました」
「話の論点がズレたけど、、修学旅行どうする?」
「修学旅行って楽しんですか?」
「楽しいよ、もちろん大変な事とかもあるけど、最終的には大体いい思い出になるよ。
因みに、俺と柚佳は同じ班だった✨」
「そうだったんですね。。。考えてみようかな………修学旅行、気になるっちゃ気になるんですよね」
「そうしてみるといいよ。 俺は柚佳とも話し合ってみるけど、この前話し合った時は行って欲しいねって話になったんだ。
でも、、本当に行きたくないのなら、柚佳に言ってみて。」
「わかりました。」
「んじゃぁ今日は、ここまでね」
「ありがとうございましたm(_ _)m」
と、言いながら、退出しようとすると、後ろから松星先生が
「優花ちゃん、今まで大変だったと思うけど、これからは俺と柚佳がいる。大丈夫、優花ちゃんは1人じゃないよ。だから、1人で耐えようとしないで。」
と、言っていた。私は「はい」と言いながら、頷いて、お辞儀をして、部屋を退出した。
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「……………不思議な人達だな。私を人として扱って下さるなんて……。。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。