私が教室で色々考えている最中、如月さんたちでは、ちょっとした口論が起きていた
「爽香、あれは言い過ぎだと思う」
「そう言う沙希も敬語だったじゃん」
「言ったじゃん、初対面の人はどうしても敬語になってしまうって」
「そうだけど、にしても堅苦しい。」
「私は、ともかく新谷さんが、そんな最初からタメ口で話すタイプだと思う?」
「思わない。」
「私も思わない」
「……無理難題な事を言っちゃったかな。」
「そうだと思う」
「教室行ったら、謝る」
「そうするのがいいと思う。」
「うん。」
今まで2人の口論を聞いていた加藤さんが、
「……爽香、気持ちが変わったんだね」
と、言う。
「今、冷静に考えてみて、言い過ぎたなって思ったの」
「そうなんだね」
「そろそろ教室に戻らない?」
「「賛成」」
そうして、3人は教室に戻った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!