第7話

【2者面談】
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2021/12/18 09:48
「新谷さん、身体は大丈夫?」





「あ、今のところは大丈夫です。」





「わかった。新谷さん、この前の中学復習テスト、凄かったね」





「…………ありがとうございます。」





(少し間かあったけど、大丈夫かしら?(柚佳))





(なんでみんな、そんなに褒めるんだろう私の事。褒められるような事何もしていないのに…(優花))





「まだ1ヶ月くらいしか行けていないけれど…学校はどう?」





「特に何も感じていないです。」





「そうなのね…」





「強いて言うのであれば、勉強が少し難しくなってきて、頑張らないといけないなとは思います。」





「分からないところがあれば、いつでも聞いていいからね?」





「はい。分かりました。」





「次は、対人関係についてね。
新谷さんは、まだ誰かと話すつもりは無い?」





「話しかけてもらえれば応じますが、、自分から話しかけるつもりは今のところは無いです。」





「そういえば、、小中学生の時はどんな感じの人だったの?」





私は、その質問に硬直してしまった。





"どんな子供ですか?"と中学校でも聞かれたけど、まともに答えすぎて、ドン引きされてしまったんだよな…





偽装しないと、いけないなと思いつつも嘘をつくのは違うなと思う。





でも、本気で話しすぎてドン引きされて、その先生から信頼が無くなったんだよな。
なんなら、その先生からでさえ色々されてきた。





高校でも、その話をして今野先生にドン引きされて信頼を失って、しかも、私の主治医である松星先生の彼女であるから、
"あんな子の主治医をしているのなら、私、翼と別れるわ"と言ってしまう可能性だってある。





このように、考えれば考える程、悪い方向へと向かっていく。





「新谷さん、大丈夫?」





今野先生のその声で妄想から目が覚めた。





そして、質問に質問で返すのは良くないことは分かっているのだが、どうしても聞きたいから聞いた。





「先生だったら、どっちを選びますか?"本当の話を聞いてドン引きして、先生を困らさせる"か、"偽装で話してハッピーエンドで話を終わらせる"かなら。どっちが、いいですか?」





「…随分と難しい質問をするのね
そうね…私だったら、偽装じゃなくて本当の話を聞くかな。」





「…分かりました。でも、後悔しないでくださいね?
そして、ここから話が長くなります。
お時間は大丈夫ですか?」





「大丈夫だよ。
わかった。覚悟して聞く。」





私は、過去での話を、長々と今野先生に説明した。





今野先生は途中で開いた口が塞がっていなかった。 最後の方になると、目が涙ぐんでいた。





「……新谷さん、、そんなに大変な思いをしていたのね… あのね、同情をしているつもりは無いんだけれども…私が、あなたの立場だったら、とても耐えられない… 辛かったのね」





「……引かないんですか。私と距離置かないんですか?」





そういうと、先生は私に抱きついた。





「…正直に、、引いたよ。
現実じゃないんじゃないのとも思った。だけど、それは紛れもなく貴方が経験した事実で過酷な経験で、、子供が体験する経験じゃなくて…引いた。
でも、私は、あなたと距離を置くつもりはない。あなたは私の大事な生徒の1人でもあり、1人の人間だもの。
翼の担当患者だからとか全く関係ない。
私が、私自身が貴方と居たい。
……新谷さんは、それでも大丈夫?
新谷さんが私と距離を置きたいというのなら、少し考える。」





「…私は正直に驚いているんです。
こんな酷い話をしたのに、先生が私と距離を置かないという選択をしたことに。
でも、発作が起きた時に助けて下さって、更に、こんな話を聞いて下さって、これからもお世話になる人を無視することなんて、絶対に出来ません
だから、これからも、よろしくお願い致します。」





「こちらこそ、これからもよろしくね!!」





「はい。」





「じゃぁ、余り長居するのは良くないから、帰るね」





そう言って、先生は私から体を離して、帰る準備をしていた。 そして、今野先生はハッとして、




「あ、翼と私の関係のことは誰にも言わないで欲しいな。」





と、言う。





「大丈夫ですよ。誰にも言いません。」





「良かった‼️ ありがとう じゃぁ、また今度、新谷さんが元気になった時に会おうね‼️」





「ありがとうございました」





私が、そういうと、先生は部屋から退出した。

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