だんだん学校生活に慣れてきた頃のこと。
私は未だに友達を作ることもなく、ただひたらすら勉学に励み、読書をする生活を送っていた
何回か、今野先生に呼ばれ、
「1人でも友達を作ってみたらどう?」
と、言われたが、その度に私は淡々と"みんなと話す話題がない"と、ありがちな理由で断っていた。
幸いなことに発作は1回も起きていない。だから、大丈夫だと思っていた。
しかし、私は、自分自身の身体をきちんと理解できていないのだなと実感してしまう事件が起きるのだった。
ある日の国語の時間。
"なんか、この時間が始まってから、少し息苦しいんだよな。"
と、身体に違和感を感じながら授業を受けていた。
国語の授業、今野先生は基本的に黒板の前に居て話していることが多い。
見回りに来ることは、あまりない。 あるとすれば、プリントやノートに問題を解いている時だけだ。
しかし、今、プリントを見ると【問】の文字が見当たらない。
だから、問題が出てくるのは当分先なのかもしれない。
そんなことを考えながら授業を受けていると、本格的に息が荒くなっていく。
なるべくバレないように呼吸をしていると、だんだん心臓が痛くなってきた。
そして、身体が痺れてきて、さらに心臓の痛みが増した。
思わず心臓を鷲掴みし、シャーペンを落とした。
先程から私が荒い息をしているからなのか、前の席の佐野くんが後ろを向き
「新谷! 苦しいか?」
と、言ってきた。
佐野くんの声は元々大きいので、その声は直ぐに今野先生にも届き、私の席へ駆けつけて来た。
そして、
「新谷さん、今すぐ処置するから少しだけ待ってて」
と、言っていたような気がした。
先生が話しかけてくれている間に気絶してしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。