第2話

第二夜
58
2021/04/11 12:58
ジジジジジ……………カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ……………



風呂まで運ぶのにも一苦労。

これだから大人は……。

まずどこから切ったものか。

首?腕?足?

考えるのも面倒臭いな。

上から切ってしまおう。

……おや。

これ以上包丁が入らないわ。

骨に当たったのか。

失敗。

骨と骨の隙間を狙わないと。

……今度は入った。

これはなかなか骨が折れそうな作業……骨だけに?アハアハ。

あ、落ちた。

この調子で……次は腕か。

……さすがに骨と骨の間には入れることが出来ない。

仕方ない。

地道に削るか。

包丁が刃こぼれしてしまうな。

新しいものを買わないと。

新しいものを買うなら、中華包丁みたいな大きなものがいいな。

どこで売ってるかな。

デパートには売ってるかな。

それとも包丁屋?

砥石を買ってもいいかもな。

……。

腕を切ってみたけれど、大きすぎるわ。

ひじのところでも切ってみようか。

ああ、丁度いい丁度いい。

片方も……。

ああ、時間がかかる。

腕が疲れる。

大きいのはこれだから……。

子供だったらそのままでもいいのに。

ようやく落とせた……。

また切らないと。

今日の夕飯は何がいいかな。

冷蔵庫、何が入っていたっけ。

魚。

照り焼きなんかにしようかな。

……ふう、切れた。

次は足……。

これは大丈夫かしら。

よっと。

ああ、入る入る。

あら……電話……。

取らないと。

……はい。もしもし。

ええ。

そうですが。

いや、そういうのに、特に興味はございませんので。

ええ。

またの機会に。

……。セールスだったわ。

いちいち立ったり座ったり……無駄なことをさせないで欲しいわ。

続きをしないと。

やっぱり足も大きいわ。

面倒くさいけれど、また半分にしましょうか……。





ジジジジジ……………カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ…………………




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