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第6話

「第四次世界大戦」

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 その戦争は大佐や少将の予想通り、世界を業火に包む最初の火種となった。隣国が違う国にも攻め込み(結局隣国は負けたのだが)、隣国が銃火器や食料を買い集めたことによる影響で他の国が貧困状態に陥りそのまた他の国に攻め込む──、そんな風にして。





 『第四次世界大戦』と名の付けられたその戦争は、およそ十九年で幕を閉じた。





 少将は、自らが戦いに行くのではなく、教官として軍人の卵を教える立ち位置に着いた。もっともそれまでは紆余曲折があり、彼は異例のスピードで大出世を果たして大将となったのを突如ととして辞めた、などということがあったのだが……、それについては長くなるので割愛。

 およそ一億人の戦死者が出た。今までに類を見ないほどの戦死者の数だったが、昔よりも人口が増えているので割合としては大体同じくらいだ。


 少将の味方尚且つ彼が命令したことなどによって死んだ人間は、およそ6000人。正確には6139人。顔も見ていない人間はそれの約三分の一を占め、それがカウントされている理由は彼の命令で間接的に死んだ人間達が含まれているからだった。
 敵を入れたらもっと増える。流石にそこまでは把握できなかった。自分が引き金を引いた人物は全て覚えているものの。

 全員の名前を覚えている訳ではないが、少なくとも直接会った人物については全て記憶している。これは彼が記憶しておこう、と頑張った訳ではない。ただ自分の影響で死んだ人間が、一度聞いた名前と見た顔が、全く忘れられないだけだった。




「──」




 慰霊碑がそこにあった。この国の戦死者のおよそ十二分の一の人数が此処に眠っている。


 白花が咲き誇っていた。




「……大佐。殉職による二階級特進で中将だ。俺が少将まで昇り詰めるのにどれだけの苦労したと思ってるんだ、貴様は一瞬で駆け上がりやがって」




 少将は、生前大佐が好んで集めていたというコインを懐から取り出した。訊き出したのは三席の男だ。少将にはそういうものを集めたがる癖は理解できないが、彼女はそれを集めるのが趣味だったそうだ。



 銅貨だった。

 血濡れた銅貨だ。大佐の血液だった。彼女はお守り代わりにそのコインを持っていたのだ。



 ──バカめ、お守りなど、何の役にも立たなかったじゃないか。

 少将は心の中でぼやいて、ピン、とコインを弾いた。コインはくるくると放物線を描いて、大佐の墓石の上に丁度乗った。




 少将は背を向けた。彼は二度と振り返らなかった。



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