第4話

アズールと飛行術
611
2020/09/09 03:48




アズール視点







〜飛行術の授業中〜




フロイド・リーチ
アズールとジェイドってば
全然飛べてねーじゃん
フロイド・リーチ
ウケんだけど
アズール・アーシェングロット
…うるさいですよフロイド
ジェイド・リーチ
アズールよりは飛べていると思うのですが…
アズール・アーシェングロット
何ですって?
ジェイド・リーチ
冗談ですよ、
そんなに恐い顔をなさらないでください




そもそもずっと海で暮らしていた僕に
空を飛べ、なんて無理な話だ



この授業はいつも苦痛で仕方ない



アズール・アーシェングロット
(早く終わってくれ…)
フロイド・リーチ
…あ。あそこにいんの、小エビちゃんじゃね?
アズール・アーシェングロット
なっ…あなたさんだって!?




フロイドが指差す方向を見ると、
少し離れた所にあなたさんがいた



ジェイド・リーチ
おやおやアズール、顔が赤くなっていますよ
フロイド・リーチ
あは、茹でダコじゃん
アズール・アーシェングロット
べ、別に僕は赤くなってなどいません!!
フロイド・リーチ
小エビちゃーん!こっちおいでよ〜




フロイドは手を振りながらあなたさんに呼びかけた




アズール・アーシェングロット
おいフロイド!あなたさんを呼ぶんじゃない!
フロイド・リーチ
えー、なんで?




まともに飛べていない姿をあなたさんに見られてしまうのは
何としても避けたい…!



あなた
フロイド先輩!
あなた
アズール先輩とジェイド先輩も!
ジェイド・リーチ
もう遅かったみたいですよ、アズール



フロイドの呼びかけに気づいたあなたさんが
僕達の元へやってくる



アズール・アーシェングロット
(くそっ…!)
フロイド・リーチ
やっほー小エビちゃん♪
あなた
こんにちは!
あなた
何か私に用でしたか?
フロイド・リーチ
アズールとジェイドが全然飛べてなくて
おもしれーから、小エビちゃんも見ていきなよ
アズール・アーシェングロット
フロイド!お前は余計なことを…!
あなた
全然って…
でも、きっと少しは飛べてるんですよね?
ジェイド・リーチ
ほんの少し浮いている程度、ですかね
あなた
それでもすごいじゃないですか!
アズール・アーシェングロット
…え?
あなた
私なんて1ミリも飛べないし…私からすれば
2人とも十分すごいです!




目をキラキラさせてそう言うあなたさんは
まるで天使のようだった




アズール・アーシェングロット
そ、そうですか?
あなた
はい!
フロイド・リーチ
ねーアズール、
小エビちゃんも褒めてくれてんだし
フロイド・リーチ
飛んでるとこ見せてあげれば〜?
アズール・アーシェングロット
いや、それは…
ジェイド・リーチ
それはいい案ですね



にやにやと笑うジェイドとフロイド

こいつらは僕に恥をかかせようとしているに違いない

2人とも後で覚えていろ…!



フロイド・リーチ
小エビちゃんも見たいよねぇ?
あなた
ぜひ見たいです!
あなた
アズール先輩、だめですか?




あなたさんに潤んだ目でじっと見つめられる




アズール・アーシェングロット
ぐっ……
アズール・アーシェングロット
…あなたさんがそう言うなら、分かりました
あなた
わぁ、ありがとうございます!



ついあなたさんの可愛らしさに負け、折れてしまったが

このままでは僕があなたさんの前で
恥をかく未来しか見えない…!




アズール・アーシェングロット
(こうなったら腹を括るしかないな…)



僕はいつも以上に集中し、飛行術を試した


すると、ほうきにまたがった僕の体は少しずつ浮かんでいく



あなた
すごい、飛べてるじゃないですか!
フロイド・リーチ
アズールすげーじゃん!
そんなに飛べてんの見たことねーよ
ジェイド・リーチ
これもあなたさんの力ですね
あなた
え、私の力ってどういうことですか?
ジェイド・リーチ
いえ、お気になさらず
あなた
フロイド・リーチ
アズールはねぇ、
小エビちゃんのこと好きなんだよ
あなた
へ?!
アズール・アーシェングロット
おいフロイド!!何を言って……あっ…!



僕はバランスを崩し、そのまま地面に落ちてしまった



アズール・アーシェングロット
いった…
あなた
アズール先輩大丈夫ですか?!
ジェイド・リーチ
怪我はありませんか?
フロイド・リーチ
あーあ、アズール落ちちゃった
アズール・アーシェングロット
フロイド!お前のせいだぞ!!
フロイド・リーチ
えー、何が?
フロイド・リーチ
俺はほんとのこと言っただけじゃん
アズール・アーシェングロット
僕はいずれあなたさんに、入念な準備をしてから完璧な告白をするつもりだったのに…!
あなた
アズール先輩、それって…
あなた
フロイド先輩の言ってたことは冗談じゃない
ってことですか?
アズール・アーシェングロット
…!?



何てことだ、僕があなたさんを好きだということが
完全にバレてしまったじゃないか…


これではもう誤魔化しようがないな…


アズール・アーシェングロット
……そうなりますね



ああ、最悪だ


フロイドから僕の気持ちを知られ、しかも飛行術に失敗して落ちた無様な姿を見られてしまったんだ


振られるに決まっている……



あなた
アズール先輩
アズール・アーシェングロット
…はい
あなた
私も…アズール先輩のことが好きです
アズール・アーシェングロット
そうですか………え!?!?



あなたさんの予想外の言葉に、僕は動揺を隠せなかった


フロイド・リーチ
やったじゃんアズール、
小エビちゃんと両想いだって
ジェイド・リーチ
ふふ、良かったですね
アズール・アーシェングロット
あなたさんと…両想い…?
アズール・アーシェングロット
僕の無様な姿を見られてしまったのに…?
あなた
そんなことないです!
アズール・アーシェングロット
えっ?
あなた
たとえ上手くいかなかったとしても…
あなた
苦手なことにも真剣に取り組む姿が無様
だなんて、そんなはずありません
アズール・アーシェングロット
あなたさん…
アズール・アーシェングロット
やはり、あなたを好きになって正解でした



僕はあなたさんの手を取る



アズール・アーシェングロット
さあ、行きましょう
あなた
え?行くってどこへ…
アズール・アーシェングロット
モストロ・ラウンジです
ジェイド・リーチ
もしかして…
ラウンジでお2人のことを祝うつもりですか?
ジェイド・リーチ
それなら僕達も準備をお手伝いしますよ
フロイド・リーチ
おもしろそーだから俺も手伝ってあげる〜
アズール・アーシェングロット
話が早くて助かります
あなた
あの、皆さん授業中じゃなかったんですか…?
アズール・アーシェングロット
そんなことは気にしなくていいんですよ
アズール・アーシェングロット
今はそれよりも、あなたさんと過ごす時間の方が何倍も大事なんですから
あなた
アズール先輩…!
アズール・アーシェングロット
では行きましょうか、あなたさん
あなた
…はい!









……










作者
おしまいです!
作者
またまた長いお話になってしまいました😭

どうだったでしょうか🐙
作者
それでは、ここまで読んでくださって
ありがとうございます!

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