私はチョコレートが好き。
お母さんが小さい頃にいつも作ってくれた
牛乳と生クリームとココアとビターチョコレート
で作ってくれたチョコレートドリンクのレシピを
最近教えてもらったから毎朝飲んでいた。
昼頃に起きるとチョコレートだけが切れている
ことに気づいて急いで買いに行った。
飲まなきゃ落ち着かなくて。
チョコレートとお水と缶チューハイを買って、
タバコ買うの忘れたなって思いながら歩いていると道路工事をしていた。
暑い中きついだろうなと思い見ると長身の人だけあきらかに暑そうな格好で作業していた。
刺青でも隠しているんだろうか、と思いながら通るとヘルメットと口元を隠している何かの隙間から見えた目は見たことのある目だった。
「あ」と言った時には座り込んでそのまま倒れた。
作業員の人が慌てる中、
私は何も考えずについさっき買った冷たい水を少しずつ飲ませ、救急車を呼んだ。
缶チューハイを首元に当て、服を脱がせて日陰で救急車を待った。
作業員の方には知り合いだから私がついていきます。と言って、一応この人も有名な人だしと思い免許証も見せて説明して電話番号も交換した。
あとで上の人も向かうからと言われたので病院に着いたら連絡しますと言ってりょうの隣で付き添いながら救急車に乗り込んだ。
搬送先を聞いて搬送先の住所をさっき電話番号を交換した方に伝えた。
つくと、すぐに点滴を打ってくれたがその日は暑くて他にも運ばれた人がいたみたいでベットも人手も空いてないようだった。
幸い、熱中症の症状は軽く、そこに疲労が溜まって倒れたようなので帰れるとのことだった。
すぐに上司らしき人が来て、とりあえず僕が家まで送るのでと言って任せようとも思ったが、まず先出た言葉は
あなた「一人暮らしですよね、私の家近いし意識がはっきりするまでは私ついてるんで私の家に送ってもらってもいいですか?」
だった。
きっと上司も1人にするのも、事務所に行って1人にするのもと思ったのか了承してくれた。
りょうはぼーっとしていて受け答えはしているが寝言のようなものだった。
私は上司にもストーカーとかだと思われたくないんで、と言って連絡先を教えてまた免許証を見せた。
家について、とりあえずベットに寝かせてクーラーの温度を少し下げた。
汗が冷えて寒くならないようにタオルケットをかけて、
車でドラッグストアに氷枕と冷えピタを買いに行った。経口補水液か、一応買っとこう。と思い思いつくものはとりあえず買って帰った。
家についてもまだ寝ていて、でもさっきのように険しい表情じゃなかったので安心した。
顔と上半身を軽く拭いてあげて冷えピタを貼って氷枕にした。
やっと落ち着いたので少しそっとしておいた。
テーブルの上を見ると手にぶら下げたままのコンビニの袋の中には溶けたチョコレートがあった。
この室温なら固まるか。今持ち上げてもこぼれそうだし。
そう思っておいといた。
少しして小さくりょうの声が聞こえた。
少し驚いて起きたなら声かけてよと言ってしまった。具合悪い人にこんなこと言ってしまってはかわいそうか。さっきかった経口補水液とスポーツドリンクを手渡した。
ありがとうと少し申し訳なさそうに笑うのでついでだからと言っておいた。
疲労だって言われてるのにすぐに帰ろうとするからもう少し寝て貰った。
顔色も完全に元に戻ったから送っていくことにした。
財布を忘れて戻って帰るとりょうはなぜだかニコニコとしていた。
りょう「お礼したいから連絡先教えて?」
あなた「私よりも現場の人にお礼言うといいよ。みんな心配してた。」
りょう「それはもう言った。上司にはメールして今も電話したし、その場にいた人には起きた時にメールで謝った。一番世話してくれたからご飯でもと思ったんだけど。ダメ?」
YouTuberをやりながら熱中症と疲労で倒れるまで仕事をするりょうは正直かっこよく見えた。
タイプではないけど。
器用そうに見えて、不器用な人だとも思った。
あなた「いつもbarに来てるりょうじゃなくて、さっき暑い中頑張ってたりょうの方がかっこよかった。」
そう言って笑ってラインのQRコードを見せた。
それは誰にも言わんでね、と笑いながらりょうもスマホを出した。
家に着くまではbarの100倍くらい話した。
女に慣れてるなとは思ったけど、結構楽しかった。
家の前についたからじゃあねと手を振った。
りょうは「ご飯の約束、絶対だからな!」と、子供見たいに言って手を振った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!