第56話

としみつ
993
2020/01/09 08:49
[りょう]

としみつに急に2人で飯いかん?って誘われた。

2人なんてなかなかないからなんかあったのかなって仕事が終わってすぐに向かった。

あなたが家にいる日だったから本当は別日が良かったけど、としみつが心配だった。

あなたもとしみつも俺にとって大事だからね。

あなたに言うと即答でいいよって言ってくれた。

その代わり夜食お願いねって笑った。








りょう「としみつ!」

としみつ「あ、りょう…。」


いつもの元気そうな顔じゃなくて、やっぱり心配になる。


りょう「なんかあったんでしょ?店予約してるから。」

としみつ「…本当できる男だよな。」

りょう「なに?落ち込んでんの?笑」

としみつ「ううん、緊張。」


よく分からなかったけどとしみつには良くあることだ。

すぐ車に乗せて店へと向かった。

道中としみつはほとんど喋らなかった。

Blueが流れた時、

としみつ「ごめん、友達に惚気てる歌聞けねぇや。」

って言って音楽を止められた。

女絡みの話か、もしくは。

そんなことを思ってると店に着いた。



席に座ってとりあえず飲み物を注文した。

としみつ「飯も、今決めよ。あんま腹減ってないけどさ。」

りょう「じゃあ適当に頼むね。」

もしかして、そんな気持ちで少しでも早く話を聞こうと思って目に付いたメニューを数品注文した。

小さい個室で大の男が2人、無言で向かいあっている。

りょう「なんか俺に話あるの?」

としみつ「うん。」

なかなか喋り出さないとしみつ。

あぁ、「もしかして」が当たるかもな。


ドリンクもフードも全て揃って、やっととしみつが口を開いた。

















としみつ「俺さ、ずっと好きだったんだよね。あなたの事。」

















りょう「そっか。」

それしか言えなかった。

でも頭の中ではあなたと話してる時の微妙な顔したとしみつとか、初めてBlueを2人で聞いた時のとしみつとか、色々と浮かんできた。

好きな人が友達と付き合ってる、なんてどんな気持ちで今までいたんだろう。

それに俺より前から好きだったのに。










としみつ「あのさ、でも邪魔するとかは絶対にない。りょうに敵うわけないし、何よりりょう、友達だし。」











この言葉に全てが無理やり押し込まれてるような気がして、体が重くなるような感覚になった。


今までとしみつからしたら嫌だと感じる状況がいくつもあったはずなのに、そんな一言で全てを言い表そうとしてるような気がして、






りょう「気付かんかった、ごめん。」

としみつ「いや、多分りょうがいなくても付き合おうとか好きなんて言えんかったと思うし。」

りょう「でも…。」

としみつ「色々考えたんだよ、なにが最善かって。りょうといる時のあなたさ、楽しそうだし幸せそうだし、それはりょうも同じで2人とも俺じゃそんな顔させれねぇなって顔してるから、でも気持ちの整理つかんから、言いたかった。1人で消化してなにもなかったふりなんて出来んし。」




そう言う性格なのはわかってる。

意外と律儀な男だ。







りょう「あなたには?言うの?」

としみつ「…りょうが泣かせたら言う。」







泣きそうな顔してるくせに笑ったふりをする友達はカッコ悪くて、ダサくて、でも誰よりもかっこいいと思った。



としみつ「かっこわり…。俺。」

りょう「ありがとう。」

としみつ「りょうにまで振られたみたいやん、俺。言っとくけど今日りょうの奢りだから。笑」











いつも通りの笑顔のはずなのにその笑顔が見れる事が嬉しかった。

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