[りょう視点]
あなた「今日会っても笑わないでね。」
珍しくふてくされたような声でそう言うから
会うのが楽しみで仕方がなかった。
少し髪型を変えたんだって。
本当は髪色が変わってから来ようとしたけど、
名古屋で借りてる部屋の契約が切れるまで
あなたは俺の部屋に泊まる予定になってたから
渋々…いや、あの声は嬉しそうだったな。
髪色は本当にふてくされてたけどね。
暗くなりすぎたとか?
伸ばすって言ってたのに切ったとか?
なんにせよ会うのが楽しみだと言うことには
変わりはない。
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あなたが時間になっても現れない。
[りょう:あなた?]
[あなた:もうついてる。]
[りょう:どこ?笑]
[あなた:笑わない?]
[りょう:会いたい、早く。]
そう送るとコンコン、と車の窓ガラスを
ノックする音が聞こえた。
あなた「髪色、なんか変だよね。」
正直、にやけた。
いつも通りの金髪に見えるけど、
ところどころ青色が入ってた。
あなた「…もっと、自然な感じでグレーっぽく青入れてって言ってたんだけど。」
りょう「俺の色だから青入れたの?笑」
あなた「…別に。これ1ヶ月くらいで落ちるやつだし。」
りょう「巻いた方が目立たないんじゃない?」
そうは言ったけど、青かぁって思うと嬉しかった。
りょう「なんで青にしたの?」
あなた「Blue、結構反響あってさ、ジャケット作り直してシングルで売ろうかなって。せっかくだから青系の色入れて。って思ったんだけど。」
りょう「似合ってるし、なんか嬉しい。」
「ふーん」とだけ言って少しだけ笑うあなたが可愛い。
明日は土曜だし、日曜の撮影も10時からだし、
少し一緒に飲もうねって話をしつつ、
家に帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!