[あなた視点]
UUUMに入ることになって数日が経った。
正直何も変わらない。
動画を出す頻度についてだけ少し変わったくらい。
りょうとも何も変わらず仲良くしてる。
そう思ってたんだけど、りょうのジャケットから
電話番号とSNSのIDのようなものが書かれた紙が
出てきた。
最近、ほぼ一緒にいたからクラブとかは行ってないはず。
でも、それならこれは?
逆ナン目的の通行人に入れられた?
…それにしては字が綺麗すぎる。
意外と私のメンタルは弱かったようで、聞くのが怖くて見なかったフリをした。
何事もないような顔でりょうにご飯を出して、話して、隣で眠った。
押し寄せるような不安のせいでもし浮気だったらどうするか。そんな事ばかりを考えた。
その日は結局一睡も出来ずに翌朝、撮影部屋へと向かうりょうの後ろ姿に手を振った。
扉が閉まる音を聞いた瞬間、押し込めていた不安で胸がいっぱいになった。
りょうに限って、そう思ってるはずなのに。
勇気がなくて、何も言えないしあの紙を見ることさえ出来なかった。
何かの勘違いだとは思ってるのに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!