第6話

カクテル②
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2019/11/22 09:46
[あなた視点]

りょうはいつも甘いアルコールの入ってないカクテルを飲んでた。

酔えもしないのになんで来てるんだろう。


不思議な人、そういうイメージしかなかった。


私が暇になる時間の数時間の間だけ来る。

そのせいで付き合っていると噂になっているらしい。

見た目も仕事も自由に生きている私はと付き合っているなんて噂、デメリットでしかないだろう。

そう考えるとこの前の倒れたことも相まって来ないように言うしかなかった。

いつも見る風景にすっかり馴染んでしまった男がいなくなると少しだけ寂しいものだ。

私は恋の歌を歌いながら私の月は一体いつ現れるのかと考えていた。

小さくて少し光るくらいの星なら要らないしなりたくない。

誰かを特別に思い誰かの特別になりたかった。


毎日のチョコレートドリンクと音楽だけを楽しみに生きて人生を消費するのなら愛して愛されてバカな女みたいに溺れてみたかった。

いつも溺れる前に離れていく男たちの事を考えると今すぐ恋をしようなんて思えなかった。


りょうの事もそう。ストレートに言う言葉の裏を考えてしまう。

一度許せば終わりかもしれない。

ただ健気に毎日話しかけて毎日ラインをしてくるりょうを少しだけ可愛いと思っているのも事実。

なによりも働いている姿というのはいいものだ。
かっこよかった。


普段は月が変わっても巡りもしないカレンダーをめくり、遊ぶ約束の火曜に「りょう」とだけ書いた。

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