[りょう視点]
今日はあなたのお母さんの誕生日会らしい。
お父さんの時に引き続き招待された。
「ママの誕生日はお花とかでいいと思う。あの人お花好きだから。」
あなたが近所の花屋を指差してそう言って笑った。
その顔は幸せそうで、少し安心する。
無意識で元どおりの金色の髪の毛を撫でた。
「何、急に。」
少し馬鹿にしたように、また余裕そうに笑った。
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りょう「よし、プレゼント揃った。」
あなた「…お花だけでいいって言ったのに。」
お花と、お母さんとお父さんのお揃いのマグカップ。
俺が1ヶ月記念日にあなたに送ったマグカップの色違いだった。
それに気付いたあなたがまた笑った。
「あの人たち[も]お揃いのものが好きだからね。」
たった一文字だけど、あなたのことを知ってる優越感。気付かずそう言って笑うからつられて笑った。
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パパ「待ってたよ!あなた〜!りょうくん!」
相変わらずのデレデレ顔。
ママ「わぁ、りょうくん、ひさしぶり!今日も男前ね!」
あなた「もう、ママもパパももっと静かに出迎えてよ。ねぇちゃん達は?」
ママ「来てるよ!姉2は仕事で来れないみたい…。」
パパ「でも代わりにお花たくさん送ってきたんだよ。かわいいところあるよなぁ。笑」
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ママ「わぁ!りょうくん、またプレゼントなんて用意してくれて…。わ!パパ!お揃いのマグカップ貰っちゃった!」
パパ「やった!使おう!」
ママ「やだ、パパ!お茶はダメよ!色ついちゃう!」
あなた「…ごめんね、相変わらずうるさい家族で…。」
姉1「あ、もう来てたの?あなたもりょうくんもおかえりなさい。」
おかえりなさい、って言葉に少しだけ嬉しくて恥ずかしい気持ちになった。
相変わらずイケメンの旦那さんと可愛いあなたの甥っ子も居る、暖かいお家だ。
あなた「ばぁば来るの?」
ママ「ばぁばは旅行中なの。でもね、ばぁばもお花くれたの。出発前に。」
姉1「本当ツンデレだよね。笑」
パパ「母さんからさっきママはお土産何喜ぶかなって電話きたよ。笑」
ママ「もー!可愛いんだから、若い時のパパそっくり!」
りょう「お父さんもツンデレだったんですか?」
パパ「いやいや、照れてしまってね。あまりにもママが可愛くて素を出したら嫌われちゃうんじゃないかって。」
りょう「あなたそっくりですね。笑」
ママ 姉1「あら!!!!!」
あなた「もう!!!!!」
明るくて楽しくて笑い疲れた。
甥っ子くんとも遊んで癒された。
なによりあなたが本当に幸せそうで、
俺も幸せな気分。
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あなた「じゃあ、今日は帰るね。」
ママ「なんで!泊まってけばいいのに!」
あなた「明日りょうの撮影早いんだって。私も次のライブの曲練習したいし。」
パパ「そっかぁ、今年の誕生日は姉2も母さんもいないからあなたにもりょうくんにも泊まって行って欲しかったなぁ。」
りょう「明日10時だし俺はいいよ?」
あなた「えー…。」
ママ「じゃあ決まりね!あ!あなたの小さい頃のアルバム見せてあげる!」
りょう「みたいです!」
あなた「やめてよ…。」
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りょう「小さい頃から綺麗なんだね。」
パパ「そうなんだよ、本当に目鼻立ちがくっきりしててねぇ…。」
姉1「悪かったな。ぼんやりしてて。」
パパ「姉1はママに似てかわいい系だからなぁ…。」
ママ「もう、パパったら!」
確かにお姉さんたちは可愛らしかった。目はまんまるで鼻が小さくて輪郭が少し丸い。お母さん似だ。
あなたは綺麗。子供のはずなのに少し大人びた表情でハーフみたいな顔立ちだった。こうみるとあなたの祖母に似てる。
あなたが興味なさそうにアルバムをめくる。
りょう「お姉さんたちはワンピースとか多いのにあなたは男の子っぽい格好してるんですね。」
ママ「この子ふりふりとかピンク着たがらなくて…。男の子と喧嘩ばかりしててね。」
パパ「七五三の時に唯一ドレス着たんだけど泣いて嫌がって。笑」
あなた「もう、その話はいいでしょ。ちゃんと着たんだから。」
小さい頃からデニムとかの方が好きだったんだな。
今よりも長めの髪は常にポニーテールで、いつも顔には絆創膏が貼ってあった。
でも無邪気に笑ってる写真がほとんどだった。
りょう「…今と同じ顔して笑うんだね。」
ママ「…りょうくん今の顔すっごいかっこよかった。」
パパ「あなた見惚れてた?」
あなた「偶然見てただけ!」
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りょう「たのしかったぁ。」
またあなたの部屋で2人でひとつのベットに入った。
あなた「…ママがかっこいいって言った時の顔、私もかっこいいと思った。おやすみ。」
俺の胸に顔をうずめた。こういう時はいつもあなたが恥ずかしがってる時だ。
本当はその顔を見たいけどそのまま抱きしめた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。