第8話

#08
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2019/06/04 18:14


壱馬side







この前、あなたが目を少し赤くして帰ってきた



何度かその顔を見たことがあるから泣いたことにすぐ気づいた



でもその隣にいたのは翔吾



あんなに人前で泣くのが嫌なあいつが、俺の前でしか見せないその姿を他のやつの前でも見せたんだって、少しだけ嫉妬した



俺の前でも滅多に泣かないあなただから、よっぽどの事があったんだろうなと思い、部屋に戻ったあなたの元へすぐ向かった



案の定、あなたにはキツイだろうなって話し



でも前より直人さんの側にいれないなら、傷つくことも少なくなるのかなって思った



それとちょっとだけ嬉しい気持ちになった俺は悪い奴かな…?







KZ「ほんで、あなたはどうしたいん?」



『落ち着いてから、HIROさんが私のこと思ってくれる気持ちは嬉しいなって思ったけど…でも、やっぱり嫌…。』



KZ「でももう決まったことなんやろ?」



俺がそう言うと、しゅんっとしてしまうあなた



KZ「あなた俺らの専属なったら?」



『へ…?』



三代目さんの専属をつけるなら、俺だってあなたが専属になって欲しい



まあ、きっとあなたが専属になるとしてもEXILEさんかSECONDさんだろうけど




あなたが直人さんにプレゼントしてもらったというセンスのいいソファに、肘をついてため息をつく




『それいいね……。』



KZ「え?」



『HIROさんに頼んでくる!!!!』



バッと立ち上がって部屋を出ていこうとするあなた



KZ「ちょ!!!待て待て!!」



『思い立ったら即行動!!壱馬一緒に行く??』



いやいや、行けるわけねぇだろ!笑

HIROさんにどんな顔して会えばいいんだよ!笑



KZ「あなた?1回落ち着いて?笑」



『めちゃくちゃ落ち着いてます。落ち着きすぎて悟り開けます。』



KZ「きっと仏の顔真似しとるんやろうけど、全然似てへんからな?」



『とりあえず聞いてくるから我の手を離すんだ川村氏。』




仏の顔真似から真剣な顔に変わったあなただけど、言葉はふざけてるだろお前




いや、そりゃああなたが専属になってくれたら万々歳だけどさ、俺の一言で行動早すぎねぇ?笑



でもあなたもなりたいと思ってくれてるのがすげえ嬉しかった





『ランペの専属になったら直人のことばかり考えずに済むし逆にいいかも!!』





うん、そうだよな



そうなるよね



やっぱり直人さんで回ってるよね





KZ「…少しは気づけよ(ボソッ)」



『え?なんか言った壱馬?』



KZ「なんでもありませーーーん。」



『なに、なんで不機嫌なのよ。』



KZ「お前には言ってもわかりませーーーん。」



『なによ!教えろ!なんて言ったの!』



KZ「うるさいうるさい。ちょ!服引っ張んなって!」



なーにー!ってずっと俺の服を引っ張りながら揺らしてくるあなた



『いじわる壱馬教えろ!なんていっ、わっ!!』


KZ「え、ちょっ!!!」



力いっぱい引っ張ってたあなたの手が服から離れてしまって、その拍子にソファから勢いよく落ちそうになったあなたを抱きとめる



KZ「あっっぶねぇ~。」


『あ…ごめん壱馬…。』


KZ「お前気をつけろ…よ…。」



ちょっと待て


この体制はやばい




とっさに腕を引っ張って頭を抱えたせいで、2人の体はゼロ距離な上に、あなたの顔が俺の首元にあって髪からめちゃくちゃいい匂いが…って何言ってんだ俺


とにかくこの距離はやばい


心臓の音伝わってねぇかな




『あの…壱馬…?もう大丈夫だよ…?』



そう言いつつも俺から離れようとせず、抱きとめられた状態のまま動かないあなた



あなたの顔を少しだけ覗くとほんのり頬が赤くなっていた



やべぇ




こんな思ってもないようなハプニングと、女の子らしい匂いと、好きなやつのそんな顔を見たら俺だって男なわけで…




KZ「ごめんあなた…。」




そうあなたに言った後、気持ちの抑えが効かなくなってしまって触れるだけのキスをした



『え………。』



唇を離してあなたの顔を見ると固まっていた





『い、いま、キス…。』





動揺しながら顔を真っ赤にして自分の唇を触るあなたを見てたら可愛くてしょうがなくて、もっと深くキスして俺のもんだって印をつけたかった



でもこれ以上理性吹っ飛ばすのやばい



我慢しながらあなたを俺の腕の中にすっぽり入れて抱きしめる



KZ「嫌やった?」



『ちょ、ちょ、ちょっと待って!!へ!?何事!?えっと、そういうことなんだろうけどそういうことじゃなくて、ちょっとタンマ!!タンマ!!!』



手でTの文字を作ってあからさまな動揺を見せるあなた


ムードもへったくれもねぇなこいつ…笑



KZ「小学生かお前は(笑)」



『ねえ!!なんでそんな余裕なの?!こちとら、まるでバタ子さんが新しい顔投げるのミスって頭がどっかに飛んでった気分だよ?!』



KZ「意味わかんねぇよ!笑」



コントみたいなことしてるけど、俺も本当は心臓バックバクであなたが俺を受け入れてくれないことはわかってるのに、何故か後悔はない



KZ「焦っとるわりには意外と口回ってんねんな。まだ余裕あるんちゃう?キスし足りんかった??」



ニヤニヤしながらそう言うと、キスという言葉に反応してあなたの顔がまた赤くなっていく



『ちょっと!からかってるなら度が過ぎてない?!女を弄んだ男は地獄に落ちるっておばあちゃんが言ってたよ!!』



あなたのばあちゃん何教えてんだよ(笑)



ずっとピーチクパーチクうるさいあなた



『壱馬聞いてる?!なにニヤニヤしてんの!こっちは必死にっっ


KZ「もう黙れって。」






あなたのうるさい口を塞ぐように、次は深い深いキスをした






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