ハオリさんが洞窟の入り口に立っていた。夕焼けが彼のシルエットを金色に染める中、彼は真剣な表情で話し始めた。
ぼくはリュックの紐をぎゅっと握りしめた。心臓がドキドキしている。
ハオリさんの目が優しく細くなる。
思わず声が弾む。
彼は指を一本立てて制止した。
答えはもちろん決まっている。
ハオリさんは頷いた。
そう言ってハオリさんは両手を合わせた。掌から緑色の光が漏れ出し、ぼくの胸のあたりへ流れてくる。
一瞬の激しい頭痛。目を閉じた瞬間、知らない風景がフラッシュバックした—。
* 幼い頃のぼくが泣いている部屋 *
* 母親らしき人が優しく背中をさすっている *
* その後ろでお父さんが悲しげな顔で立ち尽くしている *
幻影はすぐに消えた。額の汗を拭いながらハオリさんに尋ねる。
***
農夫さん達の飾らない思考が頭に飛び込んできた。驚いたけど気持ち悪くはない。むしろ「いい人だ」と確信できた。
自然と胸が熱くなる。ぼくは初めて他人の本心に触れることができたのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。