あれから二年の月日が流れた。ぼくは八歳になり、背も少し伸びた。
ハオリさんのもとでの日々は、最初は戸惑いの連続だったけど、いまは毎日が新鮮で楽しい。訓練とともに勉強まで教えてもらっている。
朝のくんれんを終えて汗を拭うぼくに、ハオリさんがたずねてくる。
相変わらず若々しい姿だが、時折見せる眼差しには深いえいち(勉強したときに覚えたけど使い方あってる?)が宿っている。
得意げに報告すると、ハオリさんは満足そうにうなずいた。
言葉を切り、真剣な表情になる。
胸の奥がチクリとした。お父さんに怒られたときの恐怖とは違う。
正しいことをされているはずなのに、どうしてこんなにも苦しく感じるんだろう。
*
昼過ぎのこと。ハオリさんが森の中の開けた場所にぼくを連れ出した。
ハオリさんが地面に魔法陣を描くと、ぽうっと青白い光が浮かび上がった。次の瞬間、景色が歪み、見慣れない林道に立っていた。
興奮するぼくにハオリさんは苦笑した。
ポケットに収められた小さな笛と丸い石は、手のひらに重みと責任感を与えてくる。
不安が顔に出たらしい。ハオリさんがぽん、と背中を押す。
“自らの力で何かを成し遂げる”――すごいことだと思う。胸が高鳴り、同時にまだ不安は残っている。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!